鉄のほかに足りないもの。亜鉛・ビタミンA・ビタミンD・カルシウム

公開 2026年9月6日・最終更新 2026年10月20日

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内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

鉄のほかに、亜鉛、ビタミンD、カルシウムも、母乳だけでは足りなくなっていきます。ビタミンAは逆に、とりすぎのほうを気にしてください。

太陽と、にんじん・かぼちゃ・しらす・きのこが並んだイラスト

亜鉛は鉄と同じ食材でとれる

母乳の中の亜鉛の濃度は、月齢が進むにつれて下がっていきます。亜鉛の目安量は、6〜11か月で1日2mgです。

亜鉛が多い食材は、牛や豚の赤身肉、レバーのように、鉄が多い食材とほぼ重なります。鉄のために赤身肉を使っていれば亜鉛もとれるので、別の食材を新しく探す必要はありません。

ビタミンAは、とりすぎに注意する栄養素

ビタミンAは、にんじんやかぼちゃのような緑黄色野菜に多く含まれます。日本で暮らしていて、ビタミンAが足りなくなることはまずありません。

一方、6〜11か月でとってよいビタミンAの量の上限は、1日600マイクログラムです(正確には「RAE」という単位で表しますが、ここでは省略してマイクログラムと書きます)。上限を超える状態が続くと、頭の中の圧力が上がるなどの体への負担が出ます。

「マイクログラムRAE」ってなに?

ビタミンAは、レバーなど動物性の食品に含まれている形と、にんじんなど野菜に含まれている形とで、体への効きめが違います。野菜のほうは体で変換する必要があるぶん、同じ重さでも実際に働く量は少なくなります。この差をならして、動物性と植物性を同じものさしで比べられるようにした単位が「マイクログラムRAE」です。

野菜のビタミンAは、とりすぎになりません

にんじんやかぼちゃに含まれるビタミンAは、植物由来のベータカロテンです。体が必要な量だけをビタミンAに変えるしくみになっていて、余ったベータカロテンがビタミンAとして蓄積することはありません。野菜を食べすぎて体に負担がかかることはないので、気にせず使ってください。

レバーは週に1〜2回、5gほどまで

とりすぎに注意が必要なのは、レバーです。鶏レバーには100gあたり14,000マイクログラムのビタミンAが含まれています。わずか5gでも700マイクログラムになり、1日の上限600マイクログラムを超えてしまいます。

だから、レバーは毎日食べるものではありません。鶏レバーや豚レバーは、週に1〜2回、5gほどまでにしてください。

とってよい量の上限は、1日でも超えたらいけない線ではなく、ふだんの食事で続けてとる量の目安です。鶏レバー5gを週に1〜2回なら、レバーのビタミンAは、1日あたりに平均すると100〜200マイクログラムで、上限の範囲におさまります。

→市販のレバーパウダーを使う時の量と回数

乾燥タイプはグラム数が変わります

粉末や乾燥のレバーは水分が抜けているぶん、同じ5gでも中身の濃さが違います。製品に書かれている使用量を優先してください。

カルシウムは、食材として使う

カルシウムの目安量は、6〜11か月で1日250mgです。カルシウムは乳製品に多い栄養素ですが、牛乳を飲みものにすると鉄の記事で説明した鉄欠乏性貧血につながるので、1歳未満の赤ちゃんには飲ませないでください。→牛乳をいつから飲みものにしてよいか →ヨーグルトの選び方

牛乳を食材として少量使うのは問題ありません。カルシウムをとるのに使いやすいのは、缶詰の魚、干物、骨ごと食べられる小魚です。野菜や大豆にもカルシウムは含まれていますが、吸収されやすさは魚のほうが上です。

ビタミンDは、日光と食べものの両方から

ビタミンDの目安量は1日5マイクログラム、上限は25マイクログラムです。骨の育ちにかかわる栄養素で、この量は、くる病(骨が育ちにくくなり、脚が曲がったりする病気)を防ぐための研究から決められています。

ビタミンDは日光を浴びると皮膚で作られるので、食べることのほかに、日光を浴びることでも増やせます。ただし、日光で作れる量は、季節と住んでいる場所で大きく変わります。

大人が顔と両手の甲を出して、晴れた日の正午に外にいた時、ビタミンDを5.5マイクログラム作るのにかかる時間は次のとおりです。(国立環境研究所)

7月なら、札幌でも那覇でも3〜5分です。12月は那覇で8分、つくばで22分、札幌では76分かかります。くもりや雨の日は、もっと長くなります。

赤ちゃんの場合の時間は調べられていないので、大人の場合の時間を目安にしてください。ビタミンDを作る紫外線は窓ガラスを通らないので、室内の日なたでは増えません。長時間の直射日光は避け、服や帽子で調整しながらで構いません。

食べもので増やすなら、しらす、きのこ、卵黄が使いやすい食材です。きのこは日光に当てると、含まれるビタミンDの量がぐっと増えます。天日干しのきのこを選ぶ、買ってきたきのこを少し天日に干す、といった工夫が効きます。

母乳が中心の赤ちゃんは、食べものと日光だけでは足りないことがあります。→サプリを使うかどうかと量

日光の量は、神経質にならなくて大丈夫です

日光の量は天気や季節でどうしても変わるので、晴れた日に外に出る機会をつくる、くらいの気持ちで構いません。記録をつけて管理するようなものではありません。冬や、日に当たりにくい暮らしなら、食べものとサプリで補うほうが確実です。

出典

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  2. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」(第8版)増補2023年
  3. 国立環境研究所「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」2013年8月30日(成人、顔と両手の甲600cm²、晴天、5.5µgを作る時間)
  4. 日本小児医療保健協議会 栄養委員会「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」日本小児科学会雑誌 2025;129(3):494-496.(ビタミンDを作る紫外線は窓ガラスを通らない)

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