6か月から鉄が足りなくなる理由と、補完食での補い方
赤ちゃんは、生まれるときに鉄を体にためてきます。そのたくわえが、6か月ごろに底をつきます。母乳にはほとんど入っていないので、ここから先は食べもので足すことになります。
カロリーと並んで、補完食でいちばん意識してほしい栄養素です。
ためてきた鉄が、6か月で尽きる
おなかの中にいるあいだに、赤ちゃんは母親から鉄を受け取ってためこみます。生まれてから半年ほどは、このたくわえで足りています。
体が大きくなるにつれて、たくわえは使われていきます。だいたい6か月あたりで足りなくなる。ちょうど補完食を始める時期と重なります。
補完食を「6か月ごろから」とすすめる理由のひとつが、これです。カロリーだけの話ではありません。
母乳には、鉄がほとんど入っていない
食品成分表で母乳100gを見ると、鉄はごくわずかです。表示に載る量には届きません。
母乳が劣っているという話ではないので、そこは誤解しないでください。亜鉛は0.3mg、カルシウムは27mg入っています。鉄だけが、もともと足りない前提の設計になっているということ。
ミルクで育てている場合は、育児用ミルクに鉄が添加されています。母乳よりは足りやすい状態です。それでも補完食が進むと、飲む量は減っていきます。
ヘム鉄と非ヘム鉄で、吸収がまるで違う
鉄には2種類あります。含まれている食べものと、体への入りやすさが違います。
| 種類 | 多い食べもの | 吸収率の目安 |
|---|---|---|
| ヘム鉄 | 赤身の肉、魚、レバー | 20% |
| 非ヘム鉄 | 豆、オートミール、ほうれん草、小松菜、卵黄 | 5% |
同じ1mgでも、お肉からとれば0.2mg、ほうれん草からなら0.05mgしか入りません。4倍の差があります。
ほうれん草や小松菜は鉄が多い野菜として知られていますが、野菜だけで補うのは、かなり大変ということです。
非ヘム鉄は、組み合わせで吸収が上がる
非ヘム鉄には、助けてくれる相手がいます。
- ビタミンCと一緒にとると、5%ほど上がります
- 動物性のたんぱく質と一緒にとると、さらに5%ほど上がります
ビタミンCは、生の果物に多く入っています。加熱するとへってしまうので、慣れてきたらすりおろしにすると効きやすい。
組み合わせの例としては、豆や青菜に少量のお肉を混ぜ、食後に果物を足す。むずかしく考えず、動物性のものと野菜を同じ皿にのせると覚えておけば十分です。
粉ミルクを「食材」として使う
日本では、6か月から使える鉄を強化した食品がほとんど売っていません。海外だと鉄入りのシリアルが一般的ですが、同じようには手に入らない。
そこで使えるのが粉ミルクです。鉄が入っているうえ、乾いた粉なので水分を増やしません。おかゆやベビーフードに混ぜると、カロリーと鉄を同時に足せます。
飲ませるものという枠から外して、調理に使う材料として見てください。補完食を組み立てるうえで、いちばん使い勝手のいい食材のひとつです。
フォローアップミルクは、ミルクの代わりではありません
名前が似ているので混同されがちですが、育児用ミルクとは別のものです。
フォローアップミルクは、牛乳のかわりとして作られています。亜鉛や銅などが入っていません。育児用ミルクのかわりに使うと、鉄以外のものが抜け落ちます。
鉄を足したいという目的だけで、育児用ミルクから切り替えないでください。
1歳までは、牛乳を飲みものにしない
1歳未満の赤ちゃんが牛乳を飲みものとして飲むと、鉄欠乏性貧血につながることが知られています。ここは避けてください。
調理に使うぶんには問題ありません。パンがゆに少し使う、料理に混ぜるといった使い方は大丈夫です。飲みものとして与えるかどうかが分かれ目になります。
赤身肉とレバーを、少しずつ
鉄をとるなら、牛や豚の赤身肉が確実です。6か月ごろから、少量ずつ始めて構いません。すりつぶす、ペーストにする、といった食べやすい形にしてください。
レバーは鉄が非常に多い食材です。ただしビタミンAも多く、とりすぎになりやすい。2〜3日に1回、5gくらいから始めるのが安全です。
乾燥レバーはグラム数が変わります
粉末や乾燥タイプは、水分が抜けているぶん、同じ5gでも中身の量が違います。製品に書かれている使用量の目安に従ってください。
市販のベビーフードに、ちょい足しする
市販品は水分が多く、鉄もカロリーも控えめです。そのまま使うより、足すものを決めておくと楽になります。
- 粉ミルクを混ぜる
- レバーペーストや肉のペーストを足す
- 食後に果物を少し
足す用の食材を冷凍で用意しておくと、回数が増えても回ります。
気になるときは小児科で相談を
顔色が白い、元気がない、といったことが続くようなら、かかりつけの小児科で相談してください。血液検査ですぐに調べられます。心配だから受診する、で構いません。
出典
- 文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」(第7版)
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
- WHO/PAHO. Guiding principles for complementary feeding of the breastfed child. 2003
ヘム鉄・非ヘム鉄の吸収率は文献によって幅があり、ここでは説明のための目安として示しています。
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