子供の病気と家族

子供が腸管出血性大腸菌(O157など)にかかった時、家族に移さないためには?

公開 2026年10月27日

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内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

O157などの腸管出血性大腸菌は、100個ほどの少ない菌でも移ります。腸管出血性大腸菌は便に出るので、トイレの後やおむつを替えた後は、石けんと流水でよく手を洗いましょう。お風呂は、腸管出血性大腸菌にかかった人と家族が一緒に入らず、赤ちゃんや小さい子供はかかった人の後に入らないようにしてください。→家で気を付けること

腸管出血性大腸菌と診断されると、診断した医師が保健所に知らせるので、保健所から家族の検査や消毒について連絡が来ることがあります。保健所の指示に従ってください。

家族に移りやすいのは、いつまで?

腸管出血性大腸菌はベロ毒素という毒素を出す大腸菌で、O157が最も多く、O26やO111もあります。腸管出血性大腸菌の感染症は夏に多く、子供と高齢者は重症化しやすいです。

腸管出血性大腸菌が移ってから症状が出るまでは、3〜5日ほどです。子供の下痢が始まってから数日のうちに、家族がお腹を痛がったり下痢をしたりしたら、腸管出血性大腸菌が移ったのかもしれません。→大人がかかった時に気を付けること

腸管出血性大腸菌にかかった人は、便に菌が出ている間、ほかの人に移す可能性があります。症状が無くても、便に菌が出ている人もいます。腸管出血性大腸菌は、話をしたり、咳やくしゃみをしたりしても移りません。

家族に移さないためには?

腸管出血性大腸菌は、便についた菌が、手や食べものを通して口から移ります。家では、次のことをしましょう。

小さい子供が腸管出血性大腸菌にかかり、一人でお風呂に入れない時は、湯船につからずにシャワーで洗ってあげましょう。

家族も、腸管出血性大腸菌にかかっていないかを調べるため、症状が無くても便の検査をすることがあります。便の検査について連絡が来たら、保健所の指示に従ってください。

家族が食べる料理では、何に気を付ける?

腸管出血性大腸菌は、75℃で1分以上加熱すると死にます。ハンバーグのようなひき肉の料理は、中心まで75℃で1分以上加熱し、肉汁が透き通るまで焼きましょう。子供には、生の肉やレバーを食べさせないでください。

生の肉を切った包丁やまな板で、野菜や果物のように生で食べるものを切らないようにしましょう。生の肉をつかんだ箸は、そのまま食事に使わないでください。まな板は使うたびに洗剤で洗い、熱湯か台所用の漂白剤で消毒しましょう。

下痢をしている子供には、水分を少しずつ何回にも分けて飲ませ、消化の良い食事にしましょう。→下痢の時の水分と離乳食

大人がかかったら、何に気を付ける?

大人が腸管出血性大腸菌にかかると、激しいお腹の痛みと水のような下痢が出て、その後に血の混じった便が出ます。血の混じった便や激しいお腹の痛みがある時は、受診しましょう。下痢止めや痛み止めの薬の中には、毒素が体から出にくくなるものがあるので、自分の判断で飲まないでください。

腸管出血性大腸菌にかかった大人は、下痢がある間は、家族の料理をほかの人に代わってもらいましょう。

腸管出血性大腸菌にかかった大人のうち、調理のように食べものに直接触れる仕事をしている人は、保健所から書面で通知を受けると、便の検査で菌が出なくなるまで食べものに直接触れる仕事に就けません(感染症法第18条)。症状が無くても、便から菌が見つかった人は同じです。同じ職場でも、会計のように食べものに触れない仕事は、法律では制限されていません。ほかの仕事の人は、仕事を休むかどうかを、職場の決まりに従って決めてください。

腸管出血性大腸菌に罹患した子供は、どんな時に受診したほうがいい?

腸管出血性大腸菌にかかった人の一部は、下痢などが始まってから数日から2週間のうち(多くは5〜7日後)に、溶血性尿毒症症候群という重い病気を起こすことがあります。溶血性尿毒症症候群は、血液の中の赤血球が壊れて腎臓の働きが悪くなる病気で、子供と高齢者に起こりやすいです。下痢が治まってきた後も、次のような時は、すぐに受診してください。

けいれんを起こした時は、すぐに救急車を呼んでください。

血の混じった便が出る、お腹をとても痛がる、水分を飲めないといった時も、受診してください。夜間や休日に受診するか迷った時は、子ども医療電話相談(#8000)に電話して相談できます。

下痢止めは、毒素が体から出にくくなることがあるので、子供に飲ませないでください。→家にある下痢止めを飲ませない理由

園や学校は、いつから行ける?

症状がある子供は、医師がほかの人に移すおそれが無いと認めたら、園や学校に行けます。症状が無く便から菌が見つかっただけの子供は、トイレで用を足せる5歳以上なら休む必要はありません。5歳未満の子供は、2回以上続けて便の検査で菌が見つからなければ、園に行けます。

登園や登校を再開した後も、トイレの後やおむつを替えた後の手洗いを続けましょう。家族がかかった時に、症状の無い兄弟が休むかどうかは、保健所の指示と通っている園や学校の決まりに従ってください。→病気ごとの、園と学校に行ける目安

出典

  1. 国立健康危機管理研究機構「腸管出血性大腸菌感染症」(2025年6月26日更新、2026年10月27日に閲覧)。菌の種類、流行の時期、潜伏期間、症状、溶血性尿毒症症候群
  2. 厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」(令和3年12月17日最終改訂、2026年10月27日に閲覧)。Q15、Q17、Q19、Q20、Q23、Q24(台所)、Q35、Q37(溶血性尿毒症症候群)、Q38(移り方)、Q42、Q43(下痢止め)、Q45(家族の注意とお風呂)、Q46、Q48、Q49(就業制限)
  3. こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂、2023年10月一部修正)」。別添1(11)腸管出血性大腸菌感染症(症状、保健所、登園のめやす)、別添2の表4(塩素系消毒薬の薄め方)、表8
  4. 日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉」(2024年3月)。腸管出血性大腸菌感染症(重症化しやすい年齢、移す期間、受診する症状、下痢止め、肉の調理、登校(園)基準)
  5. 学校保健安全法施行規則 第19条(e-Gov 法令検索)
  6. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第18条、同法施行規則 第11条(就業制限。e-Gov 法令検索、2026年10月27日に閲覧)
  7. 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」

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