子供の病気と家族

子供がインフルエンザになった時、家族に移さないためには?

公開 2026年10月26日

この記事を書いた人

内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

子供がインフルエンザになったら、家族は手洗いとマスクを、できるだけ早く始めましょう。子供の症状が出てから36時間以内に始めた家庭では、家族に移る人が少なかったという試験があります。

熱が出てから少なくとも2日間は、子供を一人にしないようにしましょう。

家族に移りやすいのは、いつまで?

インフルエンザに罹患した子供は、症状が出る前の日から、症状が出た後の3〜7日間、ウイルスを出しています。ウイルスを特に多く出すのは、症状が出てから1〜3日間です。熱が下がった後も、ウイルスは少し出ています。

インフルエンザのウイルスが移ってから症状が出るまでは、1〜3日ほどです。家族に症状が出るのは、移ってから1〜3日後が多いです。

家族に移さないためには?

香港で、インフルエンザの人がいる家庭を、手洗いだけをする家庭、手洗いとマスクをする家庭、どちらもしない家庭に分けて比べた試験があります。家族全員が手洗いとマスクを始めた家庭のうち、最初にかかった人の症状が出てから36時間以内に始められた家庭では、家族に移る人が少なくなりました。始めるのが遅れた家庭も含めると、はっきりした差は出ませんでした。

家では、次のことをしましょう。

うがいは、インフルエンザに効く?

京都大学などが、健康な大人387人を、水でうがいをする人、ヨードのうがい薬でうがいをする人、うがいをしない人に分けて、60日間比べた試験があります。水で1日3回以上うがいをした人は、うがいをしない人より、かぜにかかる割合が約4割少なくなりました。ヨードのうがい薬では、はっきりした差は出ませんでした。

同じ試験で、インフルエンザのような症状(38℃以上の熱と関節の痛みなど)だけを数えた分析もあります。かかった人が少なく、水でうがいをした人も、ヨードのうがい薬でうがいをした人も、うがいをしない人とのはっきりした差は出ませんでした。水とヨードのうがい薬のあいだにも、差はありませんでした。

インフルエンザも、かぜと同じように、喉や鼻から移る病気です。私は、インフルエンザの予防にも、水でのうがいを勧めます。ヨードのうがい薬にお金をかけなくても、うがいは水で十分です。試験をした京都大学のグループは、ヨードのうがい薬でかぜが減らなかった理由を、喉の常在菌まで壊してしまうためではないかと考えています。

熱が出てから2日間は、子供を一人にしないようにしましょう

インフルエンザに罹患した子供は、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、話しかけても反応しないといった、いつもと違う行動をとることがあります。インフルエンザの薬を飲んでいても、飲んでいなくても起こります。

いつもと違う行動は、熱が出てから2日以内に多く、小学生以上の男の子で多く報告されています。家で休ませる時は、少なくとも熱が出てから2日間、次のことをしましょう。

こういう時は、すぐに受診してください

けいれんしたり、呼びかけへの反応が悪かったりする時は、インフルエンザ脳症のこともあるので、すぐに受診してください。

家にある大人用の解熱剤を、子供に飲ませないでください

大人用の解熱剤の中には、インフルエンザに罹患した子供が飲むと、インフルエンザ脳症を引き起こす恐れのあるものがあります。ジクロフェナク(ボルタレンなど)とメフェナム酸(ポンタールなど)は、インフルエンザ脳症の子供が使うと亡くなる割合が高かったという調査があり、インフルエンザの熱には使わないことになっています。アスピリンなどのサリチル酸系の薬も、15歳未満のインフルエンザに罹患した子供には、原則として使いません。

ロキソプロフェン(ロキソニンなど)は、市販の薬は15歳未満の子供が飲まないことになっています。私は子供の熱に、ロキソプロフェンも原則として使わないことを勧めます。インフルエンザの迅速検査が陰性であってもインフルエンザである可能性があるからです。家にある大人用の薬を、自分の判断で子供に飲ませないでください。子供のインフルエンザの熱に解熱剤を使う時は、医師に出してもらったアセトアミノフェン(カロナールなど)を使いましょう。

一度受診した後も、もう一度受診したほうがいいのは、どんな時?

インフルエンザの熱は、多くの人で4〜5日続いた後に、自然に下がります。次のような時は、もう一度受診してください。

生後3か月未満の赤ちゃんは、熱が出たら、インフルエンザかどうかにかかわらず受診してください。夜間や休日に受診するか迷った時は、子ども医療電話相談(#8000)に電話して相談できます。

大人がかかったら、仕事や受診はどうする?

家族がかかっても、大人が仕事を休む法律の決まりはありません。職場の決まりに従ってください。大人がインフルエンザにかかった時は、症状が出てから1〜3日間はウイルスを特に多く出すので、外出を控えましょう。職場に、かかったことや治ったことの証明書を出す必要はありません。

家族がかかったというだけで、症状の無い子供が検査を受ける必要はありません。家族が予防のために薬を使うかどうかは、医師に相談してください。

大人は、こういう時は早めに受診してください

熱で食べられない時は?

子供に熱がある間は、カロリーより水分を優先しましょう。お茶やスープなど、子供が飲みたいもので構いません。食事はお粥など、炭水化物を多く含む消化に良い食事を摂ってください。

園や学校は、いつから行ける?

インフルエンザは、発症した後5日が過ぎ、熱が下がった後2日(園児は3日)が過ぎてから、園や学校に行けます。熱が出た日と熱が下がった日を入れると、行ける日をカレンダーで出せます。→登園・登校できる日の計算

出典

  1. 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(2026年9月30日版)。Q10(いつもと違う行動と、転落などの事故を防ぐ対策)、Q14(手洗い、湿度、換気、ワクチン)、Q15(咳エチケット、2歳未満のマスク、水分、受診の目安)、Q16(インフルエンザの熱は多くの場合4〜5日で自然に下がること)、Q18(ウイルスを出す期間と、外出を控える期間)、Q19・Q20(職場への証明書)
  2. 日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉」(2024年3月)。インフルエンザ、Q2(家族がかかった時の検査)。潜伏期間は2026年3月の追補版の値(文部科学省「学校保健の課題とその対応」2026年5月)
  3. Cowling BJ, et al. Facemasks and hand hygiene to prevent influenza transmission in households: a cluster randomized trial. Ann Intern Med. 2009;151(7):437-446
  4. Satomura K, et al. Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial. Am J Prev Med. 2005;29(4):302-307
  5. Kitamura T, et al. Can we prevent influenza-like illnesses by gargling? Intern Med. 2007;46(18):1623-1624(同じ試験で、インフルエンザのような症状だけを数えた分析)
  6. 薬事日報「うがいは水で」(2006年3月6日)。試験をした京都大学の川村孝教授は、ヨード液のうがいで差が出なかった理由を「正常な細菌叢まで壊すためでは」と推測している
  7. 学校保健安全法施行規則 第19条(e-Gov 法令検索、2023年5月8日施行の版)
  8. 厚生労働省「インフルエンザによる発熱に対して使用された解熱鎮痛薬について」(2001年5月30日)。インフルエンザに伴う発熱に、ジクロフェナクナトリウムとメフェナム酸は基本的に使わないこと、使うならアセトアミノフェンが適切なこと
  9. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の安全性情報(1998年12月)。15歳未満の水痘・インフルエンザの患者に、サリチル酸系の薬を原則として使わないこと
  10. ロキソニンS(第一三共ヘルスケア)の添付文書(PMDA の一般用医薬品の情報)。15歳未満は服用しないこと
  11. Centers for Disease Control and Prevention(アメリカ疾病予防管理センター). Signs and Symptoms of Flu(2024年8月26日)。子供と大人の、すぐに受診したほうがよいサイン
  12. 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」

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