子供の病気と家族

子供がはしかになった時、家族に移さないためには?

公開 2026年10月27日

この記事を書いた人

内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

はしか(麻しん)は、とても移りやすい病気です。はしかのウイルスは空気に漂って移るので、手洗いやマスクだけでは防げません。はしかを防ぐのに一番効果があるのは、ワクチンです。

はしかかもしれないと思ったら、受診する前に医療機関に電話して、はしかかもしれないことを伝えてください。→受診したほうがいい時

家族に移りやすいのは、いつまで?

はしかは、正式には麻しんという病気で、麻しんウイルスで起こります。はしかのウイルスが移ってから、熱や咳などの症状が出るまでは、10〜12日ほどです。

はしかは、熱などの症状が出る1日前から、ほかの人に移ります。一番移しやすいのは、発疹が出る前の、熱や咳、鼻水、目の充血がある時期です。はしかにかかった人は、発疹が出てから4日目くらいまで、ほかの人に移す力があります。はしかの免疫を持っていない人がはしかのウイルスに触れると、ほとんどの人がかかります。

家族に移さないためには?

はしかは、咳やくしゃみを浴びた時だけでなく、空気中に漂うはしかのウイルスを吸い込むだけでも移ります。はしかの人と同じ部屋にいた人は、短い時間でも、もう移っていることが多いです。家の中で部屋を分けたり、マスクをしたりしても、家族に移るのを防ぐことは難しいです。

家族のワクチンは、何回受けていれば安心?

はしかを防ぐワクチンは、麻しんと風しんを一緒に防ぐ、MRワクチンです。子供は、1歳の時と、小学校に入る前の1年間に、定期接種として1回ずつ、合わせて2回受けます。ワクチンを1回受けると95%ほどの人に免疫がつき、2回受けると、免疫がより強くなります。

2000年(平成12年)4月2日以降に生まれた人は、はしかのワクチンを定期接種で2回受ける機会がありました。それより前に生まれた大人は、はしかのワクチンを子供の時に1回しか受けていないか、1回も受けていないことがあります。家族みんなの母子健康手帳や予防接種の記録で、はしかのワクチンを2回受けたかを見ておきましょう。受けたかどうかの記憶は、当てにならないことが多いです。はしかにかかったことが無く、2回受けた記録が無い大人は、かかりつけの医師に相談してください。

妊娠中の家族や、1歳未満の赤ちゃんがいる時は?

妊娠中にはしかにかかると、流産や早産につながることがあります。MRワクチンは、妊娠中には受けられません。1歳未満の赤ちゃんも、定期接種の前なので、はしかの免疫を持っていないことが多いです。赤ちゃんや妊娠中の人がはしかにかかると、重くなりやすいです。

子供がはしかと分かったら、ワクチンを2回受けた記録が無い家族や、妊娠中の家族、1歳未満の赤ちゃんがいる時は、すぐにかかりつけの医師に相談してください。はしかの人と接してから72時間以内にワクチンを受けると、はしかにかかるのを防げることがあります。ワクチンを受けられない妊娠中の人や赤ちゃんは、はしかの人と接してから6日以内なら、免疫グロブリンという注射で、症状を軽くできることがあります。

大人がかかったら、何に気を付ける?

はしかのワクチンを受けていない大人がはしかにかかると、子供と同じように高い熱が何日も続き、肺炎や脳炎を起こすことがあります。はしかのワクチンを受けた人がはしかにかかった時は、熱が低かったり、発疹が手足だけだったりして軽く済むことが多いですが、ほかの人に移すことはあります。

大人も、はしかかもしれないと思ったら、受診する前に医療機関に電話して、はしかかもしれないことを伝え、医療機関の指示に従ってください。医療機関に行く時はマスクをして、電車やバスはなるべく使わないようにしましょう。

大人がはしかにかかっても、仕事を休まなければならないという法律の決まりはありません。職場の決まりに従ってください。ただ、発疹が出てから4日目くらいまでは、はしかをほかの人に移す力があります。医療従事者のように人と接する仕事の人は、休む期間の決まりを職場に確かめてください。はしかと診断されると、医師が保健所に届け出るので、保健所から連絡が来ることがあります。保健所から仕事や外出について話があった時は、保健所の話に従ってください。

はしかに罹患した子供は、どんな時に受診したほうがいい?

はしかでは、38℃くらいの熱と、咳、鼻水、目の充血や目やにが2〜4日続き、小さい子供は、下痢やお腹の痛みが出ることもあります。熱がいったん少し下がった後、また39℃以上の高い熱が出て、耳の後ろや首、額から赤い発疹が出始め、2日ほどで手足の先まで広がります。発疹が出てから3〜4日で熱が下がり、多くの子供は7〜10日ほどで治ります。

受診する前に医療機関に電話するのは、待合室にいるほかの子供や妊娠中の人に、はしかを移さないためです。はしかには、ウイルスを退治する薬はありません。

はしかと診断された後も、次のような時は、もう一度受診してください。

はしかにかかった子供がけいれんを起こした時は、すぐに救急車を呼んでください。

熱や痛みを和らげる薬を子供に使う時は、医師に出してもらったアセトアミノフェン(カロナールなど)を使いましょう。家にある大人用の解熱剤や痛み止めを、自分の判断で子供に飲ませないでください。

夜間や休日に受診するか迷った時は、子ども医療電話相談(#8000)に電話して相談できます。

熱が高くて食べられない時は?

母乳や育児用ミルクを飲んでいる子供は、熱がある間も、母乳やミルクを続けましょう。一度にたくさん飲めない時は、回数を増やして、少しずつ飲ませてください。

離乳食や幼児食を食べている子供に熱がある間は、カロリーより水分を優先しましょう。お茶やスープなど、子供が飲みたいもので構いません。食事はお粥など、炭水化物を多く含む消化に良い食事を摂ってください。→お粥の作り方

水分を飲めない時や、おしっこが少ない時は、受診してください。→受診したほうがいい時

園や学校は、いつから行ける?

はしかは、熱が下がった後3日が過ぎてから、園や学校に行けます。熱が下がった日は数えず、次の日を1日目として数えます。子供がはしかと分かったら、すぐに通っている園や学校に伝えてください。

家族がはしかにかかった時に、症状の無い兄弟が休むかどうかは、通っている園や学校の決まりに従ってください。ただ、はしかのワクチンを受けていない兄弟は、もうはしかが移っていて、症状が出る前から園や学校でほかの人に移すことがあります。園には妊娠中のお母さんも来ていて、妊娠中にはしかにかかると流産や早産につながることがあるので、ワクチンを受けていない兄弟は登園や登校を控えましょう。→登園・登校できる日の計算 →病気ごとの、園と学校に行ける目安

出典

  1. 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「麻しん」(2025年4月30日更新、2026年10月27日に閲覧)。病原体、移ってから症状が出るまでの日数、治療、定期接種
  2. 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「麻しんQ&A」(2026年4月30日更新、2026年10月27日に閲覧)。Q1(移り方、移す期間、かかる人の割合、症状と経過、合併症、ワクチンを受けた人の軽いはしか)、Q3(ワクチンの回数、記録で見ること、0歳のワクチン)、Q4(接した後のワクチンと免疫グロブリン)
  3. 厚生労働省「麻しん(はしか)」(2026年10月27日に閲覧)。移す期間、手洗いやマスクだけでは防げないこと、ワクチンの効果
  4. 厚生労働省「麻しん(はしか)に関するQ&A」(2026年10月27日に閲覧)。Q1(受診の前の電話と、医療機関への移動)、Q3(妊娠中のはしかと、同居する家族)、Q5(生まれた年とワクチンの回数)
  5. こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂、2023年10月一部修正)」。別添1(1)麻しん(合併症、接した後のワクチン)、空気感染の説明(同じ部屋にいた人)、予防接種の記録、兄弟の登園、表8(移しやすい期間と登園のめやす)
  6. 日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉」(2024年3月)。麻しん(合併症、接した後のワクチンと免疫グロブリン、保健所への届出、登校(園)基準、学校における麻しん対策)、出席停止の期間の数え方
  7. 学校保健安全法施行規則 第19条(出席停止の期間の基準)
  8. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第18条(就業制限。e-Gov 法令検索、2026年10月26日に閲覧)
  9. 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」

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