子供の病気と家族

子供がおたふくかぜになった時、家族に移さないためには?

公開 2026年10月27日

この記事を書いた人

内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

おたふくかぜは、家族の中で移ります。おたふくかぜにかかっても、はっきりした症状が出ない人が3割ほどいて、症状の無い人からも移ります。大人もかかり、思春期を過ぎた男性では、精巣が腫れて痛むことがあります。

おたふくかぜを防ぐ方法は、かかる前にワクチンを受けることだけです。家族がおたふくかぜにかかった後にワクチンを受けても、発症を防ぐのは難しいとされています。→家族に移さないためには

家族に移りやすいのは、いつまで?

おたふくかぜは、ムンプスウイルスで起こる病気です。3〜7歳を中心に子供に多いですが、大人もかかります。

おたふくかぜのウイルスが移ってから症状が出るまでは、14〜21日ほどで、平均は18日前後です。子供がおたふくかぜにかかってから3週間ほどのうちに、家族の耳の下やあごの下が腫れたら、おたふくかぜが移ったのかもしれません。→大人がかかった時に気を付けること

おたふくかぜにかかった人は、耳の下が腫れる数日前から、唾液の中にウイルスを出しています。特にほかの人に移しやすいのは、腫れる1〜2日前から、腫れ始めて5日後までです。

家族に移さないためには?

おたふくかぜは、咳やくしゃみの飛沫や、唾液のついた手や物を通して移ります。症状の無い人からも移るので、かかった子供を家族から離すだけでは、移るのを防ぎきれません。家では、次のことを続けましょう。

家族の母子健康手帳を見て、おたふくかぜにかかったことがあるか、おたふくかぜのワクチンを受けたかを調べましょう。かかったかどうかの記憶は、当てにならないことが多いです。

おたふくかぜのワクチンは、1歳から受けられる任意接種(希望する人が受ける予防接種)のワクチンです。ワクチンを受けていない兄弟が、今回おたふくかぜにかからなかった時は、ワクチンを受けることを考えましょう。

大人がかかったら、何に気を付ける?

大人がおたふくかぜにかかると、熱が出て、耳の下やあごの下が腫れて痛みます。唾液を飲み込む時や、酸っぱいものを食べた時に、痛みが強くなります。多くの人は、1〜2週間で良くなります。

思春期を過ぎた人がおたふくかぜにかかると、男性では精巣が、女性では卵巣が腫れることがあります。ほかにも、髄膜炎(脳を包む膜の炎症)や膵炎(膵臓の炎症)、治らない難聴を起こすことがあります。

大人がおたふくかぜにかかっても、仕事を休まなければならないという法律の決まりはありません。職場の決まりに従ってください。

大人は、こういう時は早めに受診してください

おたふくかぜに罹患した子供は、どんな時に受診したほうがいい?

おたふくかぜには、ウイルスを抑える薬がありません。腫れた所を冷やしたり、熱や痛みを和らげる薬を使ったりして、治るのを待ちます。多くの子供は、1〜2週間で治ります。

熱や痛みを和らげる薬を使う時は、医師に出してもらったアセトアミノフェン(カロナールなど)を使いましょう。家にある大人用の解熱剤や痛み止めを、自分の判断で子供に飲ませないでください。

おたふくかぜで起こる難聴は、治療で治ることがほとんどありません。難聴は片方の耳だけのことが多く、小さい子供は聞こえにくいことを自分で言えないので、小学校に入る時の健康診断で初めて気付かれることがあります。おたふくかぜが治った後に、子供が呼んでも振り向かない、テレビの音を大きくしたがるなど、聞こえにくそうな様子があれば、受診してください。

次のような時も、受診してください。

夜間や休日に受診するか迷った時は、子ども医療電話相談(#8000)に電話して相談できます。

頬が腫れて食べられない時は?

おたふくかぜでは、唾液を作る所が腫れるので、食べものを噛んだり飲み込んだりすると痛みます。酸っぱいものは、唾液がたくさん出て痛みが強くなるので、避けましょう。お粥やスープ、プリンなど、あまり噛まなくても食べられる柔らかいものを試してください。→お粥の作り方

子供に熱がある間は、カロリーより水分を優先しましょう。お茶やスープなど、子供が飲みたいもので構いません。食事はお粥など、炭水化物を多く含む消化に良い食事を摂ってください。

水分を飲めない時や、おしっこが少ない時は、受診してください。→受診したほうがいい時

園や学校は、いつから行ける?

おたふくかぜにかかった子供は、耳の下やあごの下が腫れ始めてから5日が過ぎ、全身の具合が良くなったら、園や学校に行けます。腫れ始めた日の次の日を1日目として数えます。右と左が別の日に腫れ始めた時は、最初に腫れた日から数えてください。5日が過ぎても腫れが少し残っていることがありますが、全身の具合が良ければ行けます。

計算のページで、腫れ始めた日を入れると、園や学校に行ける日が分かります。→登園・登校できる日の計算

家族がおたふくかぜにかかった時に、症状の無い兄弟が休むかどうかは、通っている園や学校の決まりに従ってください。→病気ごとの、園と学校に行ける目安

出典

  1. 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)」(2025年11月27日更新)と「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)(詳細版)」(IDWR 2003年第35号)。多い年齢、移ってから症状が出るまでの日数、症状と合併症、家族がかかった後のワクチン、ワクチンが予防の方法であること
  2. こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂、2023年10月一部修正)」。別添1(6)流行性耳下腺炎(症状の無い人、移り方、治療、任意接種のワクチン)、母子健康手帳、別添3(至急受診が必要と考えられる場合)、表8(移しやすい期間と登園のめやす)
  3. 日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉」(2024年3月)。流行性耳下腺炎(移しやすい期間、症状、合併症、難聴、登校(園)基準)、Q4(腫れがばらばらに出た時の数え方)、Q5(症状の無い人の割合、難聴)、出席停止の期間の数え方
  4. 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(2026年9月30日版)。Q15(2歳未満のマスク)
  5. 学校保健安全法施行規則 第19条(e-Gov 法令検索)
  6. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第18条(就業制限。e-Gov 法令検索、2026年10月26日に閲覧)
  7. 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」

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