子供の病気と家族
子供がRSウイルスにかかった時、家族に移さないためには?
RSウイルスには、大人も何度もかかります。大人や年上の子供は軽いかぜで済むことが多いですが、生後6か月未満の赤ちゃんに移ると、肺炎などで重くなることがあります。
咳や鼻水がある家族は、赤ちゃんにできるだけ近づかないようにしましょう。家族みんなで、手洗いを続けてください。2026年4月からは、生まれてくる赤ちゃんを守るために、妊婦がRSウイルスのワクチンを市町村の予防接種として受けられるようになりました。→妊娠中のワクチンと赤ちゃんの注射
家族に移りやすいのは、いつまで?
RSウイルスが移ってから症状が出るまでは、2〜8日で、多くは4〜6日です。家族に鼻水や咳が出たら、RSウイルスが移ったのかもしれません。→大人がかかった時に気を付けること
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」では、RSウイルスを移しやすいのは、咳や鼻水などの呼吸の症状がある間とされています。アメリカ疾病予防管理センターによると、RSウイルスにかかった人は、症状が出る1〜2日前から移すことがあり、多くの人が移す期間は3〜8日間です。赤ちゃんや免疫が弱い人は、4週間以上移し続けることがあります。
2歳以上の子供が2回目、3回目にRSウイルスにかかった時は、軽い咳や鼻水しか出ず、いつもどおり保育園に通っていることがあります。保護者や保育士がかかることもあり、症状が軽い子供や大人からも、RSウイルスは移ります。
家族に移さないためには?
RSウイルスは、家族の中で移りやすいウイルスです。乳幼児と年上の子供がいる家庭で、流行の間に家族の44%がかかったという報告があります。家にRSウイルスを持ち込むのは、軽いかぜの症状が出ている、小学生くらいの年齢の子供が多いとされています。
年上の子供や大人は、RSウイルスにかかっても、かぜだと思って気付かないことが多いです。咳や鼻水がある家族は、RSウイルスと分かっていなくても、できるだけ赤ちゃんに近づかないようにしましょう。家では、次のことも続けてください。
- 家族みんなで、流水と石けんで手を洗いましょう。アルコールの消毒液でも構いません。赤ちゃんを抱く前や、授乳の前には、特に手を洗ってください
- 咳や鼻水がある人は、マスクをしましょう。2歳未満の子供は、息苦しくても自分でマスクを外せず、窒息や熱中症の心配があるため、マスクをさせないでください
- 咳や鼻水がある人は、赤ちゃんの顔にキスをしないようにしましょう。顔に直接触れることでも、RSウイルスは移ります
- RSウイルスは、机やベビーベッドの柵のような硬い物の表面で、何時間も生きています。おもちゃ、ベビーベッドの柵、ドアノブ、手すりなど、よく触る物を、アルコールの消毒液でこまめに拭きましょう
- 空気が乾燥すると、喉や鼻がウイルスを防ぐ働きが弱まります。部屋の換気をして、加湿器などで部屋の湿度を50〜60%に保ちましょう
生後6か月未満の赤ちゃんがいる家で、気を付けること
生後6か月未満の赤ちゃんは、RSウイルスで重症化しやすいです。保育所では、流行の時期に0歳児と1歳以上の子供のクラスを離して、咳や鼻水がある年上の子供が赤ちゃんに触れないようにしています。家でも、上の子に咳や鼻水がある間は、赤ちゃんと顔を近づけて遊ばせないようにしましょう。
生まれてくる赤ちゃんを、RSウイルスから守るには?
妊娠中に受けるRSウイルスのワクチンは、生まれてくる赤ちゃんを守るためのものです。妊婦がワクチンを受けると、お母さんの体で作られた抗体(ウイルスから体を守るたんぱく質)が、胎盤を通って赤ちゃんに移ります。赤ちゃんは、生まれた時からRSウイルスの抗体を持った状態になります。
2026年4月から、妊娠28週0日から36週6日までの妊婦は、RSウイルスのワクチンを定期接種として1回受けられるようになりました。定期接種は、予防接種法で決められていて、市町村が行う予防接種です。前の妊娠の時に受けた人も、また受けられます。使うワクチンは、ファイザーのアブリスボです。受けられる医療機関や費用は市町村によって違うので、住んでいる市町村に問い合わせてください。
妊婦が受けるRSウイルスのワクチンには、生まれた赤ちゃんが、息が苦しくなるような重いRSウイルスの肺炎や気管支炎になるのを防ぐ効果が認められています。防げる割合は、生後90日までは8割程度、生後180日までは7割程度です。ワクチンを受けてから14日以内に生まれた赤ちゃんでは、効果がはっきりしていません。受ける時期は、妊婦健診の時に医師に相談してください。
ワクチンの主な副反応は、注射した所の痛みや腫れ、頭痛、筋肉の痛みです。
生まれた後の赤ちゃんに、RSウイルスの抗体を注射する薬もあります。早産で生まれた赤ちゃんや、心臓や肺に病気がある赤ちゃんなど、重症化しやすい赤ちゃんは、健康保険が使えます。妊娠中のワクチンや赤ちゃんへの注射を使うかどうかは、妊婦健診や赤ちゃんの診察の時に、医師に相談してください。
RSウイルスにかかった子供は、どんな時に受診したほうがいい?
初めてRSウイルスにかかった乳幼児の約7割は、鼻水などの症状だけで、数日のうちに良くなります。約3割の乳幼児では、咳がひどくなり、ゼイゼイしたり、息が苦しくなったりします。RSウイルスには、ウイルスを抑える薬がありません。重くなった時は、酸素や点滴などの治療をします。
次のような時は、受診してください。
- 息が速い、肩を上下させて息をしている、小鼻がピクピク動く
- 息をするたびに、肋骨の間や首の付け根がへこむ
- ゼイゼイ、ヒューヒューという音がして、苦しそう
- 息が苦しくて、横になれない
- 息が10秒より長く止まることがある
- 唇や顔の色が青っぽい、または灰色っぽい
- 顔色が悪く、ぐったりしている。いつもより明らかに元気がなく、反応が悪い
- 機嫌が悪い
- 母乳やミルク、水分を飲めない。8時間以上おしっこが出ない
- 高い熱が続く
- 症状がだんだん悪くなっていく
赤ちゃんは、RSウイルスにかかっても、熱が出ないことが多いです。生後1か月未満の赤ちゃんでは、咳や鼻水が目立たないまま、息が止まる発作を起こすことがあります。熱が無くても、上の一覧のような様子があれば受診してください。
生後6か月未満の赤ちゃん、早産で生まれた赤ちゃん、心臓や肺などに持病がある子供は、RSウイルスで重症化しやすいです。咳や鼻水が出始めたら、早めにかかりつけの医師に相談しましょう。夜間や休日に受診するか迷った時は、子ども医療電話相談(#8000)に電話して相談できます。
大人がかかったら、何に気を付ける?
RSウイルスは、一度かかっても体に十分な免疫ができないため、大人になっても何度もかかります。大人がかかった時は、鼻水などの軽いかぜの症状で済むことが多いです。
ただ、RSウイルスにかかった子供を看病している保護者は、子供から一度に大量のウイルスが移るため、気管支炎やインフルエンザのような症状が出て、重くなることがあります。高齢の人や、肺などに持病がある人も、RSウイルスで重い肺炎になることがあります。祖父母に赤ちゃんの世話を手伝ってもらう時は、祖父母にも手洗いとマスクをお願いしましょう。孫の世話をする60歳以上の祖父母には、RSウイルスにかかって重い肺炎になるのを防ぐため、RSウイルスのワクチンを受けることを勧めます。
大人がRSウイルスにかかった時も、家族がかかった時も、仕事を休まなければならないという法律の決まりはありません。職場の決まりに従ってください。咳や鼻水が続いている間は、マスクをしましょう。職場に、かかったことや治ったことの証明書を出す必要はありません。
大人は、こういう時は早めに受診してください
- 息が苦しい
- 高い熱が続く
- 意識の様子がおかしい
- 水分を十分に摂れない
- 症状がだんだん悪くなっていく
子供が鼻水や咳で、飲めない・食べられない時は?
赤ちゃんは、大人より鼻の通り道や気管が細いので、かぜで少し腫れただけでも息苦しくなります。鼻水や咳で母乳やミルクを飲む量が減ると、脱水(体の水分が足りなくなること)になりやすいです。
鼻がつまっている赤ちゃんは、母乳やミルクをゆっくりしか飲めなかったり、息が苦しくて飲みたがらなかったりします。授乳の前に、保護者が鼻吸い器で鼻水を吸ってあげると、赤ちゃんは飲みやすくなります。一度にたくさん飲めない時は、回数を増やして、少しずつ飲ませてください。
母乳の赤ちゃんに、水や育児用ミルクを足す必要はありません。直接飲むのが難しい時は、搾った母乳を、コップや哺乳瓶で飲ませる方法もあります。
離乳食や幼児食を食べている子供に熱がある間は、カロリーより水分を優先しましょう。お茶やスープなど、子供が飲みたいもので構いません。食事はお粥など、炭水化物を多く含む消化に良い食事を摂ってください。→お粥の作り方
水分を飲めない時や、8時間以上おしっこが出ない時は、受診してください。→受診したほうがいい時
園や学校は、いつから行ける?
保育園は、咳や鼻水などの呼吸の症状が治まり、全身の具合が良くなったら登園できます。学校は、熱や咳などの症状が落ち着き、全身の具合が良ければ登校できます。保護者が書く登園届を出すかどうかは保育園によって違うので、通っている保育園に聞いてください。登園や登校を再開した後も、手洗いを続けましょう。
学校に、治ったことや検査で陰性だったことの証明書を出す必要はありません。家族がRSウイルスにかかったというだけで、症状の無い子供が検査を受ける必要もありません。→病気ごとの、園と学校に行ける目安
出典
- 厚生労働省「RSウイルス感染症」(2026年10月26日に閲覧)。何度もかかること、2歳までにほぼ全員がかかること、重くなった時の治療、手洗い・消毒・マスク、5類感染症であること
- 厚生労働省「RSウイルス感染症に関するQ&A」(2026年4月27日改訂)。Q4(移ってから症状が出るまでの日数、初めてかかった乳幼児の経過、生後1か月未満の無呼吸発作、看病する保護者と高齢者)、Q5(重症化しやすい子供)、Q6(気付かれていない年長児や大人、乳幼児に近づかないこと、手洗いとマスク)、Q7(受診の目安と#8000)、Q8(特効薬が無いこと)、Q9(60歳以上と妊婦のワクチン、パリビズマブ)
- 厚生労働省「RSウイルスワクチン」(2026年10月26日に閲覧)と「RSウイルスワクチンのご案内(対象者向け)」(2026年4月)。定期接種の対象と時期、効果、接種後14日以内に生まれた赤ちゃんでの効果、副反応、妊娠高血圧症候群、接種に注意が必要な人、抗体の注射が定期接種の対象でないこと、費用と医療機関は市町村によること
- 厚生労働省「RSウイルス感染症に注意しましょう」(2026年4月作成のリーフレット)。重症化しやすい子供、高齢者が重くなること
- 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(2026年9月30日版)。Q1(RSウイルスが急性呼吸器感染症に含まれること)、Q14(湿度、換気)、Q15(2歳未満のマスク、水分、受診の目安)、Q18(症状が続く間のマスク)、Q19・Q20(職場への証明書)、Q21(学校への証明書)
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年5月一部改訂、2023年10月一部修正)」。乳児の生理的特性(冊子2ページ)、別添1(20)RSウイルス感染症(何度もかかること、大人の症状、2歳以上の再感染、保護者や職員から移ること、0歳児のクラスを離すこと、登園のめやす)、別添3⑤咳の時の対応(冊子79ページ)、別添4(登園届)、表9(移しやすい期間と登園のめやす)
- 日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉」(2024年3月)。RSウイルス感染症(登校(園)基準)、Q2(家族がかかった時の検査)。移ってから症状が出るまでの日数と抗体の注射は、2026年3月の追補版の値(文部科学省「学校保健の課題とその対応」2026年5月)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「RSウイルス感染症(詳細版)」(IDWR 2004年第22号掲載)。家族の中で移りやすいこと、家に持ち込む子供、看病する保護者の症状
- 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所「RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤 ファクトシート」(2025年10月22日)。ニルセビマブが承認された対象と、健康保険が使える範囲
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「2026年4月からの妊婦を対象としたRSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®筋注用)の定期接種化にあたって」(2026年3月27日)。抗体の注射の薬の名前と、重症化しやすい赤ちゃんへの抗体の注射
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第18条(就業制限。e-Gov 法令検索、2026年10月26日に閲覧)
- Centers for Disease Control and Prevention(アメリカ疾病予防管理センター). How RSV Spreads、RSV in Infants and Young Children、Symptoms and Care of RSV(いずれも2026年2月20日)。移す期間、硬い物の表面でのウイルス、顔へのキス、赤ちゃんの症状と受診の目安、大人の受診の目安
- American Academy of Pediatrics(アメリカ小児科学会), HealthyChildren.org. RSV: When It's More Than Just a Cold(2026年9月2日更新)。息が苦しい時のサイン、脱水のサイン、鼻づまりの時の授乳
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」
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