補完食ってなに?離乳食との違いをやさしく解説
補完食は、母乳やミルクだけでは足りなくなった栄養を、食べもので補うための食事です。「離乳食」という名前から授乳をやめる準備だと思われがちですが、授乳はやめなくて構いません。母乳もミルクも、赤ちゃんが欲しがるだけあげてください。
補完食で出す食べものは、日本で「離乳食」と呼んでいるものと同じで、ちがうのは考え方です。月齢の表に沿って進めるのが離乳食、足りない栄養を見て補うのが補完食です。
足りなくなるのは、生後6か月ごろから
生まれてしばらくは、母乳やミルクだけで栄養をまかなえます。6か月をすぎるあたりから、母乳やミルクの栄養だけでは、赤ちゃんが必要とする量に追いつかなくなってきます。とくに足りなくなるのがカロリーと鉄です。
補完食は、足りなくなった栄養を食べもので補うという考え方なので、「何か月になったから次はこれ」という決まりは、もともとありません。
ビタミンDだけは時期が違います。母乳が中心の赤ちゃんは、6か月より前から足りないことがあります。→ビタミンDの記事
授乳をやめる必要はありません
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」には、離乳の完了とは母乳やミルクを飲んでいない状態を指すものではない、とはっきり書かれています。食事から栄養の大部分をとれるようになった状態のことで、授乳の終わりとは別の話です。
WHOは2歳まで授乳を続けることをすすめています。ただ、仕事に戻る時期もあり、日本の暮らしのなかで2歳まで続けるのは簡単なことではありません。2歳まで続けられなくても心配はいりません。
補完食を始めても、授乳の回数を減らさなくて大丈夫です。お母さんの体調が許すかぎり、好きなだけ飲ませてあげてください。
いつ始めるの?
次のことができていれば、始められます。
- 首がすわっている
- 寝返りができる
- 支えがあれば5秒以上座っていられる
- スプーンを口に入れても、舌で押し出さない
- 食べているものに興味を示す
始めるサインは、生後5〜6か月ごろにそろうことが多いですが、個人差があります。焦らずに、その子のペースで始めてください。
離乳食の椅子は、腰がすわってからで大丈夫です。→買う時期と選び方
最初の一口は、5倍粥から
5倍粥は、お米1に対して水5で炊いたおかゆで、全粥とも呼ばれます。心配なら、7倍粥くらいから始めても構いません。→5倍粥の作り方 →7倍粥の作り方
おかゆの濃さは、ヨーグルトくらいを目安にしましょう。スプーンを傾けても、すぐには落ちない濃さです。すすって飲めてしまうおかゆは、薄すぎます。
薄いおかゆから慣らしていくやり方が広く知られていますが、おかゆは薄いほど水の割合が増えて、カロリーが下がります。補完食はカロリーと栄養を足すための食事で、水分は母乳やミルクで足りています。
うちの子は、最初に10倍粥を出したときは食べませんでした。いろいろ試して、最後に5倍粥にしたら食べてくれました。薄いほうが食べやすいとはかぎらない、というのが正直な実感です。
おかゆの呼び方はまぎらわしい
「5倍粥」と「5分粥」は別のものです。5倍粥は米1に水5で炊いた、とろりと濃いおかゆです。5分粥は全粥を水で半分に薄めたもので、10倍粥に近い薄さになります。ここでいう最初の一口は、濃いほうの5倍粥です。
回数は、決まっていません
はじめの一さじは、食べることに慣れるのが目的です。1日1回でも2回でも構いません。
赤ちゃんが1回で食べられる量はごくわずかなので、少しずつ何度も食べさせるのが基本です。食事の回数は、「何か月だから何回」で決めるものではありません。
1回の量が増えないうちは、余裕のあるときに回数を増やしてみてください。WHOの2003年の指針にも、1回の量が少ないときは回数を増やす必要があるかもしれない、と書かれています。
赤ちゃんが必要なカロリーを補完食でとろうとすると、思ったよりたくさん食べないといけません。→同じ量でもカロリーを増やすコツ
初期・中期・後期の食材の決まりはありません
日本の離乳食の本には、ごっくん期、もぐもぐ期、かみかみ期のような時期ごとの区切りと、時期ごとに使ってよい食材の表が載っています。
補完食には時期ごとの食材の決まりがなく、食べやすい形にしてあれば、月齢によって使えない食材があるわけではありません。
ただ、離乳食の時期の区切りは、かたさや大きさをどう変えていくかの参考になります。月齢で機械的に切り替えるのではなく、その子の食べかたを見ながら変えていってください。
かたさを進める時は、赤ちゃんの口の動きを見てください。
- 口を閉じて、飲み込めているか
- 上下にもぐもぐと動いているか。動いていれば、舌でつぶせるかたさに進めましょう
- 口が左右どちらかに寄るか。寄っていれば、歯ぐきでつぶせるかたさに進めてください
はちみつ、かたい豆やナッツ、丸い食べものに気をつける
はちみつは乳児ボツリヌス症を起こすことがあるため、1歳を過ぎるまで与えないでください。
かたい豆やナッツ類はのどや気管に詰まりやすいため、5歳以下の子には粒のまま食べさせないでください。使う時は、なめらかなペーストにしましょう。
ぶどうやミニトマトのように丸くてつるっとしたものは、4等分にしてから出してください。→詰まりやすい食べものと切り方
ミルクと補完食、どちらが先でもいい
ミルクと補完食の順番にも決まりはなく、先に食べさせても、先に飲ませても構わないので、家の都合に合わせてください。ミルクの銘柄も、栄養で選び直す必要はありません。牛乳を飲みものにするのは1歳からです。→育児用ミルクの選び方 →牛乳はいつから
食べない日があっても大丈夫
食べる量が少ない日があっても、母乳やミルクが飲めていれば、その日の栄養は足りています。補完食は今日1日で完成させるものではありません。
出典
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
- WHO. Guideline for complementary feeding of infants and young children 6-23 months of age. Geneva: World Health Organization; 2023.(6か月からの開始、2歳以上までの授乳の継続は、いずれもこの版で強い推奨とされています)
- WHO/PAHO. Guiding principles for complementary feeding of the breastfed child. 2003.(2023年版に置き換えられた旧版)
- 日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会「食品による窒息 子どもを守るためにできること」2020年10月30日掲載、2025年8月31日改訂(Ver.3)
- 消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―」2021年1月20日
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