かたさと形は、月齢ではなく、その子の口の動きで決める

「7か月になったから、そろそろつぶつぶに」。この決め方だと、うまくいかないことがあります。

かたさを変える時期を決めるのは月齢ではなく、その子の口の動きです。

月齢の表は、目安であって基準ではありません

離乳食の本にも、市販のベビーフードにも、9か月から、12か月から、というように月齢が書いてあります。

日本小児科学会は、市販の離乳食やおやつの対象月齢の表記には、明確な根拠も法的な基準もないとしています。同じ月齢でも、上手につぶして飲み込めるかは子どもによって違います。

ベビーフードが悪いわけではありません。月齢の表記を基準にしない、というだけの話です。使い方はベビーフードの記事にまとめました。

口の動きは、4つの段階で変わります

厚生労働省のガイドは、かたさの目安と、そのときの口の動きを対にして示しています。

なめらかにすりつぶした状態(生後5〜6か月ごろ)

口を閉じて食べものを取り込み、飲み込めるようになります。舌は前から後ろへ送るだけで、噛んだりつぶしたりはまだしません。

舌でつぶせるかたさ(生後7〜8か月ごろ)

舌とあごの動きが前後から上下に変わり、口は左右対称に引かれます。もぐもぐしているように見えるのが、この動きです。

歯ぐきでつぶせるかたさ(生後9〜11か月ごろ)

舌で食べものを歯ぐきの上に乗せられるようになります。口は左右どちらかに寄って動き、噛んでいるほうへ寄っていきます。

形のあるものをかみつぶす(生後12〜18か月ごろ)

前歯で噛み取って、一口の量を覚えていきます。ガイドはこの状態を離乳の完了と呼びますが、母乳やミルクをやめた状態のことではありません。

次に進んでいいサインは、口もとに出ます

次の3つを見てください。

歯が生えていなくても、進めて大丈夫です

9〜11か月ごろの目安は「歯ぐきでつぶせる」かたさで、歯で噛むことは前提になっていません。歯の生える時期は個人差が大きいので、そこで待つ必要はありません。

なめらかなままにしていると、あとで食べにくくなることがあります

平成27年度の乳幼児栄養調査で2番目に多かった困りごとが、もぐもぐ・かみかみが少ないことでした。28.9%の人が答えています。

丸のみしていると心配になり、まだ早かったのかと思って、なめらかなものに戻したくなります。

イギリスで9360組の親子を追った調査があります。かたまりのある食べものを生後10か月より遅く始めた子は、6か月でも15か月でも、食べさせにくく、好き嫌いがはっきりしていました。

ただし、これは質問紙による観察研究で、遅らせたことが原因だと確かめた試験ではありません。それでも、心配だからとつぶし続けることが安全側の選択とは限らないことを示しています。

丸のみが続くときの手当ては、食べてくれないときの記事にもまとめました。

手づかみは、汚れますが、させたほうがいい

厚生労働省のガイドは、生後9か月ごろから始まる手づかみ食べを「積極的にさせたい行動」と書いています。

触ったり握ったりすることで、かたさや手ざわりを体験します。それが食べものへの関心につながり、自分から食べようとする行動につながります。

周りが汚れる、片づけが大変、時間がかかる。そういう理由でさせたくない親がいることも、ガイドは書いています。

完了期には、前歯で噛み取って一口の量を覚えていきます。手づかみは、その練習になっています。

形を残すときは、切り方を変える

形を残すといっても、大きいまま出すわけではありません。詰まりやすい食べものは、大体決まっています。

消費者庁が人口動態調査を分析しています。平成26年から令和元年までの6年間に、食品をのどに詰まらせて14歳以下の子どもが80人亡くなり、うち5歳以下が73人でした。

年齢別でいちばん多いのは0歳で、26人です。補完食を始める時期と重なります。

日本小児科学会は、詰まりやすい食べものを3つに分けています。

丸くて、つるっとしたもの

ぶどう、ミニトマト、さくらんぼ、うずらの卵、球形のチーズ、ソーセージ、こんにゃく。口の中ですべって、噛む前に飲み込んでしまいます。

ぶどうとミニトマトは4等分にします。ソーセージは縦半分に切ります。白玉団子は、噛む前に飲み込みやすいので避けたほうが安心です。

くっつきやすいもの

餅、ごはん、パン。口の中で唾液を吸って、はりつきます。先に水分をとってのどを湿らせ、一口に詰め込まないようにします。

かたくて、噛み切れないもの

りんご、生のにんじん、いか。離乳が完了するまで、りんごは加熱します。すりおろしても、大きなかけらが混ざることがあります。

消費者庁は、豆やナッツ類を5歳以下の子どもに食べさせないよう求めています。小さく砕いた場合でも、気管に入ると肺炎や気管支炎になることがあります。

食べさせ方も、切り方と同じくらい効きます

上の兄弟がいる家では、下の子が同じものを欲しがります。それをそのまま渡してしまうのが危険です。

のどに詰まったときは

詰まったときは、声が出なくなり、顔色が急に悪くなって、よだれを垂らし、苦しそうな顔をします。

すぐに119番。口の奥に指を入れない

やり方は年齢で変わります。1歳未満の赤ちゃんに腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)は行いません。

1歳未満 太ももの上にうつぶせで抱え、肩甲骨の間を手のひらで5〜6回強くたたきます(背部叩打法)。取れなければ仰向けにして、左右の乳頭を結んだ線の中央より少し足側を、指2本で押します(胸部突き上げ法)。この2つを交互に繰り返します。

1歳以上 背中側から両腕を回し、みぞおちの前で両手を組んで、勢いよくぎゅっと押します(腹部突き上げ法=ハイムリッヒ法)。背部叩打法と組み合わせます。

反応がなくなったら、心肺蘇生に切り替えます。図解は日本小児科学会のこどもの救急に、動画は同学会の「食品による窒息」にあります。詰まってから調べるのでは間に合わないので、一度見ておくと安心です。

うまくいかない日は、一段戻していい

進めてみて丸のみするようになったら、一段戻して構いません。行ったり戻ったりしながら進みます。

体調が悪い日、眠い日は、食べかたが変わります。その日は前の段階のものでも大丈夫です。

出典

  1. 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
  2. 日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会「食品による窒息 子どもを守るためにできること」2020年10月30日掲載、2025年8月31日改訂(Ver.3)
  3. 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ) 事故と対策 窒息」
  4. 消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―」2021年1月20日
  5. 厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要」2016年
  6. Northstone K, et al. The effect of age of introduction to lumpy solids on foods eaten and reported feeding difficulties at 6 and 15 months. J Hum Nutr Diet. 2001;14(1):43-54.

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また、ここに書かれている内容は著者個人の見解であり、所属する機関を代表するものではありません。

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