かたさと形は、月齢ではなく、その子の口の動きで決める

公開 2026年9月8日・最終更新 2026年10月20日

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内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

「7か月になったから、そろそろつぶつぶに」という決め方だと、うまくいかないことがあります。

かたさを変える時期を決めるのは月齢ではなく、その子の口の動きです。

同じ野菜を、なめらかなペースト・粗つぶし・小さな角切り・指でつまめる細長い形と、少しずつ形を残して並べた小皿4枚のイラスト

月齢の表は、目安であって基準ではありません

離乳食の本にも、市販のベビーフードにも、9か月から、12か月から、というように月齢が書いてあります。

日本小児科学会は、市販の離乳食やおやつの対象月齢の表記には、明確な根拠も法的な基準もないとしています。同じ月齢でも、上手につぶして飲み込めるかは子供によって違います。

ベビーフードも、月齢の表記だけで選ばず、その子の口の動きに合うかたさのものを選べば使えます。→ベビーフードの使い方

口の動きは、4つの段階で変わります

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、かたさの目安と、そのときの口の動きを対にして示しています。

厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)より。月齢は目安です。
かたさ口の動き
なめらかにすりつぶした状態生後5〜6か月ごろ口を閉じて食べものを取り込み、飲み込めるようになります。舌は前から後ろへ送るだけで、噛んだりつぶしたりはまだしません。
舌でつぶせるかたさ生後7〜8か月ごろ舌とあごの動きが前後から上下に変わり、口は左右対称に引かれます。もぐもぐしているように見えるのが、この動きです。
歯ぐきでつぶせるかたさ生後9〜11か月ごろ舌で食べものを歯ぐきの上に乗せられるようになります。口は左右どちらかに寄って動き、噛んでいるほうへ寄っていきます。
形のあるものをかみつぶす生後12〜18か月ごろ前歯で噛み取って、一口の量を覚えていきます。

ガイドは、形のあるものをかみつぶせる状態を離乳の完了と呼びますが、母乳やミルクをやめた状態のことではありません。

次に進んでいいサインは、口もとに出ます

次のような口の動きを見てください。

歯が生えていなくても、進めて大丈夫です

9〜11か月ごろの目安は「歯ぐきでつぶせる」かたさで、歯で噛むことは前提になっていません。歯の生える時期は個人差が大きいので、生えるのを待つ必要はありません。

なめらかなままにしていると、あとで食べにくくなることがあります

厚生労働省の平成27年度の乳幼児栄養調査で2番目に多かった困りごとは、もぐもぐ・かみかみが少ないことで、28.9%の保護者が答えています。

丸のみしていると心配になり、まだ早かったのかと思って、なめらかなものに戻したくなります。

イギリスで9360組の親子を追った調査では、かたまりのある食べものを生後10か月より遅く始めた子は、6か月でも15か月でも、食べさせにくく、好き嫌いがはっきりしていました。

ただし、この調査は質問紙による観察研究で、遅らせたことが原因だと示した試験ではありません。それでも、心配だからとつぶし続けることが安全側の選択とは限らないことを示しています。

→丸のみが続くときの手当て

手づかみは、汚れますが、させたほうがいい

厚生労働省のガイドは、生後9か月ごろから始まる手づかみ食べを「積極的にさせたい行動」と書いています。

赤ちゃんが食べものを触ったり握ったりして、かたさや手ざわりを体験することが、食べものへの関心や、自分から食べようとする行動につながります。

周りが汚れる、片づけが大変、時間がかかる、といった理由で手づかみ食べをさせたくない親がいることも、ガイドは書いています。

手づかみ食べは、離乳の完了に向けて、前歯で噛み取って一口の量を覚えていく練習にもなります。

形を残すときは、切り方を変える

形を残すといっても、大きいまま出すわけではありません。詰まりやすい食べものは、大体決まっています。

消費者庁が人口動態調査を分析したところ、平成26年から令和元年までの6年間に、食品をのどに詰まらせて14歳以下の子供が80人亡くなり、うち5歳以下が73人でした。

亡くなった子を年齢別に見ると、いちばん多いのは0歳の26人で、補完食を始める時期と重なります。

日本小児科学会は、詰まりやすい食べものを3つに分けています。

種類食べものと、出し方
丸くて、つるっとしたもの口の中ですべって、噛む前に飲み込んでしまいます
ぶどう、ミニトマト、さくらんぼ、うずらの卵、球形のチーズ、ソーセージ、こんにゃく
ぶどうとミニトマトは4等分にしましょう。ソーセージは縦半分に切ってください。白玉団子は、噛む前に飲み込みやすいので避けたほうが安心です。
くっつきやすいもの口の中で唾液を吸って、はりつきます
餅、ごはん、パン
先に水分をとってのどを湿らせ、一口に詰め込まないようにしましょう。
かたくて、噛み切れないもの
りんご、生のにんじん、いか
離乳が完了するまで、りんごは加熱してください。すりおろしても、大きなかけらが混ざることがあります。

消費者庁は、炒り豆やピーナッツのような硬い豆やナッツ類を、5歳以下の子供に食べさせないよう求めています。小さく砕いた場合でも、気管に入ると肺炎や気管支炎になることがあります。枝豆や煮豆のようなやわらかい豆も、粒のまま飲み込むと同じように危ないので、離乳食で使う時は、薄皮を除いてすりつぶしてください。

食べさせ方でも、詰まりにくくできます

上の兄弟がいる家では、下の子が同じものを欲しがりますが、上の子の食べものは下の子には詰まりやすいことがあるので、そのまま渡さないようにしましょう。

のどに詰まった時は、その場で背中をたたきましょう

食べものがのどに詰まると、赤ちゃんは声が出なくなり、顔色が急に悪くなります。よだれを垂らして、苦しそうな顔をします。

救急車を待っているあいだも赤ちゃんの息は止まったままなので、詰まった時に一番大事なのは、その場ですぐに取り除く処置を始めることです。

大人が2人以上いる時は、1人が処置をして、もう1人が119番に電話しましょう。1人しかいない時は、悩むようならすぐに119番に電話してください。

処置の時は、口の奥に指を入れないようにしましょう

やり方は年齢で変わります。1歳未満の赤ちゃんに腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)は行わないでください。

1歳未満 太ももの上にうつぶせで抱え、肩甲骨の間を手のひらで5〜6回強くたたきます(背部叩打法)。取れなければ仰向けにして、左右の乳頭を結んだ線の中央より少し足側を、指2本で押します(胸部突き上げ法)。この2つを交互に繰り返します。

1歳以上 背中側から両腕を回し、みぞおちの前で両手を組んで、勢いよくぎゅっと押します(腹部突き上げ法=ハイムリッヒ法)。背部叩打法と組み合わせます。

反応がなくなったら、心肺蘇生に切り替えます。図解は日本小児科学会のこどもの救急に、動画は同学会の「食品による窒息」にあります。詰まってから調べる時間はないので、補完食を始める前に一度見ておくと安心です。

できれば、住んでいる地域の消防署が開いている救命講習を受けておくことを勧めます。赤ちゃんの人形を使って、背中のたたき方や胸の押し方を実際に練習できます。著者も、小児の対応には慣れていなかったので、消防の講習を受けました。

うまくいかない日は、一段戻していい

次のかたさに進めてみて丸のみするようになったら、一段戻して構いません。行ったり戻ったりしながら進めば大丈夫です。

体調が悪い日や眠い日は食べかたが変わるので、前の段階のかたさのものでも大丈夫です。

出典

  1. 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
  2. 日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会「食品による窒息 子どもを守るためにできること」2020年10月30日掲載、2025年8月31日改訂(Ver.3)
  3. 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ) 事故と対策 窒息」
  4. 消費者庁「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで―」2021年1月20日
  5. 厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要」2016年
  6. Northstone K, et al. The effect of age of introduction to lumpy solids on foods eaten and reported feeding difficulties at 6 and 15 months. J Hum Nutr Diet. 2001;14(1):43-54.

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