食べてくれないとき。量を増やすより、濃さを上げる

食べてくれないとき、まず確かめたいのは食べた量ではありません。体重が増えているかどうかです。増えているなら、いまのままで足りています。

そのうえで打てる手があります。食べる量を増やそうとがんばるのではなく、スプーン1杯あたりのカロリーを上げるやり方です。

少しだけ減った離乳食の器と木のスプーン、右上がりの曲線が描かれたカードのイラスト

困っているのは、あなただけではありません

厚生労働省の乳幼児栄養調査に、離乳食で困ったことを聞いた項目があります。0〜2歳の子の保護者が答えたもので、いちばん新しい調査は平成27年度のものです。

何かしら困っていると答えた人は74.1%。特にないと答えた人は25.9%でした。4人に3人が、どこかでつまずいています。

厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査」より(回答者は0〜2歳児の保護者、複数回答)
困ったこと割合
作るのが負担、大変33.5%
もぐもぐ、かみかみが少ない(丸のみしている)28.9%
食べる量が少ない21.8%
食べものの種類が偏っている21.2%
食べさせるのが負担、大変17.8%
母乳やミルクと離乳食のバランスがわからない17.1%
食べるのをいやがる15.9%
母乳やミルクをよく飲み、離乳食が進まない12.6%

1位が「作るのが負担、大変」だというのは、覚えておいていいと思います。うまく食べてくれないという悩みの隣には、たいてい、作る側の消耗があります。両方いっぺんに抱えている状態が、めずらしくないということです。

まず体重を見てください。食べた量ではなく

1回に食べる量は、日によって驚くほど変わります。昨日は完食して、今日はひと口で終わる。それを毎回記録して一喜一憂すると、こちらが持ちません。

見るのは体重です。母子健康手帳に発育曲線が載っています。その子なりの線に沿って増えていれば、いまの食べ方で足りているということです。曲線の帯のどこにいるかより、その子の線が上を向いているかを見てください。

からだの大きさや増え方には、もともと大きな個人差があります。よく食べるのに小さめの子も、少食なのに大きめの子もいます。よその子の食べる量と比べても、答えは出ません。

1日単位で考えなくて大丈夫です

食べる量も、栄養のバランスも、1日で帳尻を合わせる必要はありません。1週間で見て、だいたいそろっていれば十分です。献立の記事に、その考え方を書きました。

無理に食べさせない。WHOがはっきり書いています

WHOとPAHOの補完食の指針に、食べさせ方についての項目があります。応答的な食べさせ方、と呼ばれるものです。中身はこうなっています。

「すすめてよい。ただし強制はしない」。ここが要点です。口に入れようと追いかけたり、泣いている子に押し込んだりすると、食事そのものがいやなものになります。2023年に出たWHOのガイドラインでも、この食べさせ方は強い推奨になっています。

いやがるときは、食材そのものより出し方を疑ってみてください。温度を変える。かたさを変える。別のものと混ぜる。1回断られただけで、その食材がだめだと決まったわけではありません。

量を増やすより、濃さを上げる

WHOの指針には、食べさせる量について「あまり細かく決めすぎないこと」とも書かれています。必要な量は、母乳をどれだけ飲んでいるか、その子がどう育っているかで変わるからです。

だとすると、食べられる量が少ない子に対して打つ手は、量ではありません。同じ量に入るカロリーを上げることです。

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より。おかゆはすべて精白米。
食べもの100gあたり1gあたり
五分かゆ(10倍粥に近い薄さ)33 kcal0.33
母乳61 kcal0.61
全粥(5倍粥)65 kcal0.65
ごはん156 kcal1.56

同じ100gでも、薄いおかゆなら33kcal、ごはんなら156kcalです。4倍以上ちがいます。ひと口しか食べてくれない子でも、そのひと口を濃くすれば、入るカロリーは変わります。

やり方はいくつかあります。おかゆを少しずつ濃くしていく。粉ミルクを混ぜる。油を少し落とす。市販のベビーフードは水分が多くてカロリーが低めなので、そこに足すのがいちばん手軽です。ベビーフードの記事に具体的な足し方を書きました。

いま足りているかどうかは、足りないカロリー計算で見当がつきます。月齢を入れると、母乳やミルクのほかに必要なカロリーと、それをおかゆやごはんでとる場合の量が出ます。

丸のみしている、いつまでもつぶしている

調査で2番目に多かった悩みが、これでした。もぐもぐ、かみかみが少ない。28.9%です。

ここで気をつけたいのは、心配だからといってつぶし続けることです。イギリスで9360組の親子を追った調査があります。かたまりのある食べものを生後10か月より遅く始めた子は、6か月の時点でも15か月の時点でも、食べさせにくく、好き嫌いがはっきりしていました。

つまり、なめらかなものを続けるほうが、あとで食べにくくなることがあります。WHOの目安では、8か月ごろには自分でつまんで食べられるものを、12か月ごろには家族と同じようなものを食べられる子が多いとされています。少しずつ形を残していってください。

形を残すときの注意

のどに詰まりやすいものは避けてください。WHOが名前を挙げているのは、ナッツ、ぶどう、生のにんじんです。丸くてつるっとしたもの、かたくてかみ砕く必要があるものが危険です。ぶどうやミニトマトは4つに切る、にんじんはやわらかく煮る。形を残すことと、大きいまま出すことは別です。

母乳やミルクをよく飲んで、進まないとき

12.6%の人が、ここで困っています。飲むほうが好きで、食事に進まない。

授乳を減らして食べさせよう、とは考えなくて大丈夫です。補完食は母乳やミルクをやめさせるためのものではなく、足りない分を足すためのものだからです。授乳は欲しがるだけ続けてかまいません。

そのうえで、順番を入れ替えてみる手はあります。おなかがすいているときに食事を先に出す。あるいは、母乳やミルクを先にして落ち着かせてから食べさせる。どちらが合うかは子どもによります。補完食とはの記事に、この考え方をまとめました。

こういうときは小児科で相談してください

ここまでは、体重が増えている場合の話です。次のようなときは、家で工夫するより先に受診してください。

食べる量が少ないこと自体より、体重の動きと全身の様子が大事です。判断に迷ったら、健診を待たずに相談していいと思います。

出典

  1. 厚生労働省「平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要」2016年(令和7年度調査は実施中で、本記事の執筆時点では平成27年度が最新の公表値)
  2. PAHO/WHO. Guiding principles for complementary feeding of the breastfed child. 2003.
  3. WHO. Guideline for complementary feeding of infants and young children 6-23 months of age. Geneva: World Health Organization; 2023.
  4. Northstone K, et al. The effect of age of introduction to lumpy solids on foods eaten and reported feeding difficulties at 6 and 15 months. J Hum Nutr Diet. 2001;14(1):43-54.
  5. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
  6. 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」

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また、ここに書かれている内容は著者個人の見解であり、所属する機関を代表するものではありません。

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