母乳が中心の赤ちゃんには、ビタミンDのサプリをすすめます
母乳には、ビタミンDがほとんど入っていません。日本の調査では、母乳で育つ生後0〜5か月の赤ちゃんの半分が、ビタミンD欠乏でした。母乳が悪いわけではありません。足りない分を足せば済みます。
このページの考えを先に書きます。母乳が中心なら、赤ちゃん用のビタミンDサプリをすすめます。量は商品の表示どおりで、日本の目安の1日5マイクログラムまで。育児用ミルクをしっかり飲んでいる子には要りません。
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母乳の赤ちゃんの半分が、ビタミンD欠乏でした
順天堂大学のグループが、静岡と東京の健康な子ども290人の血液を調べました。2018年の報告です。生後0〜5か月の50人では、34%がビタミンD欠乏、18%が不足ぎみでした。
飲んでいるもので分けると、差がはっきりします。母乳だけの26人では、欠乏が13人で50%。育児用ミルクか混合の19人では、2人で10.5%でした。
補完食が始まっている6か月以降の240人では、欠乏は1.7%です。食べものからとれるようになると、減っていきます。
人数の少ない調査です。それでも、日本小児医療保健協議会の栄養委員会は2025年の提言で、ビタミンD欠乏の赤ちゃんが増えていると書いています。
母乳に入っているビタミンDは、100gあたり0.3マイクログラムです。赤ちゃんの1日の目安量は5マイクログラムなので、母乳だけでは届きません。
提言は同時に、ビタミンDのために母乳育児が妨げられないように、とも書いています。足りないのはビタミンDだけです。母乳をやめる理由にはなりません。
足りないと、何が起きる?
ビタミンDは、カルシウムを体に取り込むのを助けます。ひどく足りない状態が続くと、骨が育ちにくくなる「くる病」や、血液のカルシウムが下がる病気につながります。
ただ、「欠乏」は血液検査の値の話です。欠乏と出た赤ちゃんが、みんな病気になるわけではありません。先ほどの調査も、症状があったかどうかまでは調べていません。
脚の曲がりが気になる、身長や体重の伸びが心配、というときは、健診や小児科で相談してください。
日本と海外で、すすめ方が違います
| 出どころ | すすめ方 |
|---|---|
| 日本小児医療保健協議会 栄養委員会(2025年) | まず外気浴と食事。それが難しいときに、赤ちゃん用のサプリを考える |
| アメリカ小児科学会 | 母乳と混合の赤ちゃん全員に、生後数日から1日10マイクログラム |
| 国際コンセンサス(2016年) | 母乳でもミルクでも、1歳まで全員に1日10マイクログラム |
| イギリスの国民保健サービス | 母乳の赤ちゃんに、生後から1日8.5〜10マイクログラム。ミルクを1日500mLより多く飲む子には不要 |
日本の提言は、全員にサプリを使うやり方を「これから議論が必要」としています。海外は、すでに全員にすすめています。
10マイクログラムは「400IU」とも書きます。海外の商品や記事には、IUという単位がよく出てきます。日本の目安の5マイクログラムは200IUです。
著者の考え。サプリをすすめます。量は1日5マイクログラムまで
ここからは著者の考えです。母乳が中心の赤ちゃんには、ビタミンDのサプリを使うことをすすめます。理由は、実際に足りていない赤ちゃんが多いからです。
日光だけで補うのは、季節によっては無理があります。12月の札幌では、大人が必要な量を作るのに、晴れた日の正午で76分かかります。赤ちゃんを毎日それだけ外に出すのは、現実的ではありません。
量は、日本の目安の1日5マイクログラムにします。海外は10マイクログラムですが、5と10を比べて、くる病や骨の強さに差が出たという研究は見つかっていません。差がわからないなら、少ないほうを選びます。
正直に書いておきます。サプリで血液のビタミンDが増えることは確かです。ただ、骨が強くなるところまでは、研究で確かめきれていません。
世界中の研究をまとめて評価するコクランの2020年の報告でも、くる病を減らせるかどうかは結論が出ていません。
それでも、説明書どおりに使えば、とりすぎの心配はまずありません。赤ちゃんが1日にとってよい上限は25マイクログラム。5マイクログラムは、その5分の1です。
母乳・混合・ミルクで、足す量が変わります
市販の赤ちゃん用サプリに、森下仁丹の「BabyD」があります。1滴にビタミンDが2マイクログラム。表示は「生後1か月頃より、1日1〜2滴」です。このページも、この表示の範囲で書きます。
育児用ミルクには、ビタミンDが入っています。明治ほほえみなら、できあがり100mLあたり0.88マイクログラム。600mL飲めば、それだけで約5マイクログラムです。
| 飲んでいるもの | BabyD |
|---|---|
| 母乳だけ | 1日2滴 |
| 混合で、ミルクが1日600mLより少ない | 1日1滴 |
| ミルクを1日600mL以上飲んでいる | 足さない |
ミルクの製品によって、入っているビタミンDの量は少し違います。缶の栄養成分表示で、できあがり100mLあたりの量を確かめてください。
ミルクを1日600mL以上飲んでいる子には、サプリを買う必要はありません。
1滴5マイクログラムの「BabyD200」という製品もあります。こちらは医療機関だけで扱っています。1滴で済ませたいときは、かかりつけの小児科で聞いてみてください。
森下仁丹「BabyD」の商品ページ(広告):楽天市場/Amazon
薬局やドラッグストアでも買えます。
いつから、いつまで?
始めるのは、商品の表示どおり、生後1か月ごろからです。アメリカ小児科学会は生後数日からとしていますが、この商品には「生後1か月頃より」と書いてあるためです。
続ける目安は1歳までです。魚や卵黄を食事でとれるようになれば、サプリの出番は減っていきます。先ほどの調査でも、補完食が始まったあとの欠乏は1.7%でした。
1歳を過ぎても魚や卵をほとんど食べない、外に出る機会が少ない。そういうときは、続けるかどうかを小児科で相談してください。
日光浴は何分? 窓ごしでは作れません
ビタミンDは、日光の紫外線を浴びると皮膚で作られます。ただし、この紫外線は窓ガラスを通りません。室内の日なたや、窓ごしの日光浴では増えません。
大人が顔と両手の甲を出して、晴れた日の正午に外にいたとします。ビタミンDを5.5マイクログラム作るのに、次の時間がかかります。(国立環境研究所)
7月なら、札幌でも那覇でも3〜5分です。12月は那覇で8分、つくばで22分、札幌では76分かかります。くもりや雨の日は、もっと長くなります。赤ちゃんの値はないので、目安として見てください。
日本の提言は、適度な外気浴と外遊びをすすめています。日焼け止めを使いすぎないように、とも書いています。
一方で、皮膚に害がなく、ビタミンDも十分に作れる日光の量は、まだはっきり決まっていません。晴れた日に外へ出る機会をつくりつつ、足りない分は食べものとサプリで補うのが確実です。
食べもので増やすなら、鮭と卵黄
鮭は15gあまりで5マイクログラム、卵黄は1個で2.5マイクログラムのビタミンDがとれます。提言が挙げている例です。野菜、穀物、豆、いもには、あまり入っていません。
提言は、カルシウムも一緒にとるようすすめています。卵の出し方は卵の記事に、カルシウムの話は鉄以外の栄養素の記事に書きました。
アレルギーで卵や乳製品を除いている赤ちゃんは、ビタミンDとカルシウムが減りやすくなります。除いている食材があるなら、小児科で相談してください。
とりすぎを防ぐために、守ること
- 説明書の滴数を守る。BabyDは1日1〜2滴まで。
- 容器から赤ちゃんの口へ、直接たらさない。スプーンにとるか、ミルクや食べものに落としてから。
- ビタミンDの入ったサプリを、2つ重ねない。
- ミルクを1日600mL以上飲んでいる子には、足さない。
- 開封したら、3か月を目安に使い切る。
- 健診や受診のときに、「ビタミンDのサプリを使っています」と伝える。
日本の提言は、サプリを使うなら、用法と用量を守って医師の指導のもとで、としています。使い始めたら、次の健診で一度伝えておくと安心です。
始める前に、主治医に相談してほしい場合
早産などで小さく生まれた赤ちゃん、肝臓や腸の病気がある赤ちゃんは、ビタミンDが足りなくなりやすく、必要な量も変わります。自己判断で始めず、先に主治医に相談してください。
血液のカルシウムが高いと言われたことのある赤ちゃんは、サプリを使わないでください。
出典
- 日本小児医療保健協議会 栄養委員会「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」日本小児科学会雑誌 2025;129(3):494-496.
- Nakano S, et al. Current vitamin D status in healthy Japanese infants and young children. J Nutr Sci Vitaminol. 2018;64(2):99-105.(0〜5か月50人:欠乏34%、不足18%。母乳26人:欠乏50%。ミルク・混合19人:欠乏10.5%。6か月以降240人:欠乏1.7%)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(乳児のビタミンD:目安量 1日5µg、耐容上限量 1日25µg)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(人乳:ビタミンD 0.3µg/100g)
- Wagner CL, Greer FR. Prevention of rickets and vitamin D deficiency in infants, children, and adolescents. Pediatrics. 2008;122(5):1142-1152.
- American Academy of Pediatrics. Vitamin D for Babies, Children & Adolescents. HealthyChildren.org、2022年8月24日更新
- Munns CF, et al. Global consensus recommendations on prevention and management of nutritional rickets. J Clin Endocrinol Metab. 2016;101(2):394-415.
- NHS. Vitamins for children.
- Tan ML, Abrams SA, Osborn DA. Vitamin D supplementation for term breastfed infants to prevent vitamin D deficiency and improve bone health. Cochrane Database Syst Rev. 2020;12:CD013046.
- 国立環境研究所「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」2013年8月30日(成人、顔と両手の甲600cm²、晴天、5.5µgを作る時間)
- 森下仁丹「BabyD」公式サイト(1滴あたりビタミンD 2.0µg、生後1か月頃より1日1〜2滴。BabyD200は1滴5.0µgで医療機関専売。2026年9月確認)
- 明治「明治ほほえみ」商品情報(13.5%調乳液100mLあたり ビタミンD 0.88µg。2026年9月確認)
このサイトの情報は一般的な医学情報であり、個別の診療の代わりになるものではありません。お子さんの状態については、かかりつけの小児科医にご相談ください。
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