母乳が中心の赤ちゃんには、ビタミンDのサプリを勧めます

公開 2026年9月19日・最終更新 2026年10月20日

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内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

母乳には、ビタミンDがほとんど含まれていません。日本の調査では、母乳で育つ生後0〜5か月の赤ちゃんの半分が、ビタミンD欠乏でした。母乳が悪いわけではありません。足りないビタミンDを足せば済みます。

このサイトでは、母乳が中心の赤ちゃんには、赤ちゃん用のビタミンDサプリを勧めます。量は商品の表示どおりで、日本の目安の1日5マイクログラムまでにしてください。育児用ミルクをしっかり飲んでいる子には、サプリは要りません。

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無地の小さな滴下ボトルと、しずくを1滴のせた木のスプーン、小皿にのった焼き鮭とゆで卵のイラスト

母乳の赤ちゃんの半分が、ビタミンD欠乏でした

順天堂大学のグループは、静岡と東京の健康な子供290人の血液を調べ、2018年に報告しました。生後0〜5か月の50人では、34%がビタミンD欠乏、18%が不足ぎみでした。

飲んでいるもので分けると、母乳だけの26人では欠乏が13人で50%、育児用ミルクか混合の19人では2人で10.5%と、差がはっきりします。

補完食が始まっている6か月以降の240人では欠乏は1.7%で、食べものからビタミンDが摂れるようになると、欠乏は減っていきます。

順天堂大学の調査は人数が少ないですが、日本小児医療保健協議会の栄養委員会も2025年の提言で、ビタミンD欠乏の赤ちゃんが増えていると書いています。

母乳に含まれているビタミンDは、100gあたり0.3マイクログラムです。赤ちゃんの1日の目安量は5マイクログラムなので、母乳だけでは少ないです。

提言は同時に、ビタミンDのために母乳育児が妨げられないように、とも書いています。ビタミンDが足りないことは、母乳をやめる理由にはなりません。

不足すると、どんな症状が出る?

ビタミンDは、カルシウムを体に取り込むのを助けます。ひどく足りない状態が続くと、骨が育ちにくくなる「くる病」や、血液のカルシウムが下がる病気につながります。

ただ、「欠乏」は血液検査の値の話なので、欠乏と出た赤ちゃんが、みんな病気になるわけではありません。先ほどの調査も、症状があったかどうかまでは調べていません。

ビタミンDの不足は、病気とまではいかないO脚とも関係がありそうです。歩きはじめのころのO脚は、多くが自然にまっすぐになります。

ところが、レントゲンでくる病の変化がないO脚の子33人を調べると、ビタミンDが不足していた子は39%で、O脚のない子の14%より多くいました。(順天堂大学、2020年)

同じグループは2025年に、O脚の1〜2歳の子にビタミンDを足すと、足さなかった子より早くまっすぐになったと報告しています。足した量は1日10マイクログラムで、このページの目安より多い量です。

どちらも人数の少ない研究で、はっきりしたことはこれからです。

脚の曲がりが気になる、身長や体重の伸びが心配、という時は、健診や小児科で相談してください。

日本と海外で、勧め方が違います

赤ちゃんのビタミンDについての、おもな勧め方
出どころ勧め方
日本小児医療保健協議会 栄養委員会(2025年)まず外気浴と食事。それが難しい時に、赤ちゃん用のサプリを考える
アメリカ小児科学会母乳と混合の赤ちゃん全員に、生後数日から1日10マイクログラム
国際コンセンサス(2016年)母乳でもミルクでも、1歳まで全員に1日10マイクログラム
イギリスの国民保健サービス母乳の赤ちゃんに、生後から1日8.5〜10マイクログラム。ミルクを1日500mLより多く飲む子には不要

日本の提言は、全員にサプリを使うやり方を「これから議論が必要」としていますが、海外では既に全員に勧めています。

海外の商品や記事にはIUという単位がよく出てきて、10マイクログラムは400IU、日本の目安の5マイクログラムは200IUにあたります。

著者は、1日5マイクログラムまでのサプリを勧めます

実際にビタミンDが足りていない赤ちゃんが多いので、母乳が中心の赤ちゃんには、ビタミンDのサプリを使うことを勧めます。

ビタミンDを日光だけで補うのは、季節によっては無理があります。12月の札幌では、大人が必要な量を作るのに、晴れた日の正午で76分かかります。赤ちゃんを毎日76分も外に出すのは、現実的ではありません。

サプリの量は、日本の目安の1日5マイクログラムにします。海外の目安は10マイクログラムですが、5マイクログラムと10マイクログラムで、くる病や骨の強さに差が出たという研究は見つかっていないので、少ないほうを選びます。

サプリで血液のビタミンDが増えることは確かですが、骨が強くなるかどうかは、研究ではまだ分かっていません。

世界中の研究をまとめて評価するコクランの2020年の報告でも、くる病を減らせるかどうかは結論が出ていません。

それでも、説明書どおりに使えば、摂りすぎの心配はまずありません。赤ちゃんが1日にとってよいビタミンDの上限は25マイクログラムで、5マイクログラムは上限の5分の1です。

母乳・混合・ミルクで、足す量が変わります

市販の赤ちゃん用サプリに、森下仁丹の「BabyD」があり、1滴にビタミンDが2マイクログラム含まれています。表示は「生後1か月頃より、1日1〜2滴」で、このページも表示の範囲で書いています。

育児用ミルクには、ビタミンDが含まれています。明治ほほえみなら、できあがり100mLあたり0.88マイクログラムで、600mL飲めば、ミルクだけで約5マイクログラム摂れます。

足す量の目安(ミルクは明治ほほえみの表示で計算。BabyDは1滴2マイクログラム)
飲んでいるものBabyD
母乳だけ1日2滴
混合で、ミルクが1日600mLより少ない1日1滴
ミルクを1日600mL以上飲んでいる足さない

よく使われている3つの銘柄を、メーカーの表示で比べました。

育児用ミルクに含まれているビタミンD(2026年9月確認)
銘柄できあがり100mLあたり5マイクログラムになる量
明治ほほえみ0.88マイクログラム約570mL
森永はぐくみ0.85マイクログラム約590mL
和光堂 はいはい0.91マイクログラム約550mL

3つの銘柄とも、600mL飲めばビタミンDは5マイクログラムを少し超えるので、ビタミンDについても、どれを選んでも大きくは違いません。→育児用ミルクの選び方

ミルクを1日600mL以上飲んでいる子には、サプリを買う必要はありません。

BabyD(ベビーディー)の飲ませ方

蓋を開けて、容器をまっすぐ下に向けます。数秒待つと、しずくが出てきます。出てこない時は、容器を軽く押してください。

しずくは、洗った大人の指先か、おしゃぶり、スプーンに受けて、赤ちゃんの口に含ませます。容器から赤ちゃんの口へ、じかにたらさないでください。

補完食が始まっていれば、ひとさじすくったスプーンにたらす方法もあります。BabyDは味もにおいもないオイルなので、ミルクや食べものに混ぜてもかまいません。

哺乳びんのミルクに混ぜると、赤ちゃんが飲み残したぶんだけ、摂れるビタミンDが減ります。哺乳びんの乳首の先に1滴つけるほうが確実です。

外でたくさん日に当たった日も、1日1〜2滴なら使えます。(森下仁丹)

開けてから使い切るまでは、3か月が目安です。約90滴入りなので、1日2滴なら45日でなくなります。寝かせずに立てて、日の当たらない涼しいところに置いてください。

BabyDはどこで売ってる?

BabyDは、ドラッグストア、薬局、森下仁丹の通信販売のほか、楽天市場とAmazonでも買えます。通販が確実で手っ取り早いです。

森下仁丹「BabyD」

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1本に約90滴入った、赤ちゃん用のビタミンDのオイルです。

いつから、いつまで?

サプリを始めるのは、生後1か月ごろからです。アメリカ小児科学会は生後数日からとしていますが、このサイトはBabyDの表示「生後1か月頃より」に従っています。

サプリを続ける目安は1歳までです。魚や卵黄を食事で摂れるようになれば、サプリの出番は減っていきます。順天堂大学の調査でも、補完食が始まったあとの欠乏は1.7%でした。

1歳を過ぎても魚や卵をほとんど食べない、外に出る機会が少ない、という時は、サプリを続けるかどうかを小児科で相談してください。

日光浴は何分? 窓ごしでは作れません

ビタミンDは、日光の紫外線を浴びると皮膚で作られます。ただし、ビタミンDを作る紫外線は窓ガラスを通らないので、室内の日なたや、窓ごしの日光浴ではビタミンDは増えません。

大人が顔と両手の甲を出して、晴れた日の正午に外にいた時、ビタミンDを5.5マイクログラム作るのにかかる時間は次のとおりです。(国立環境研究所)

7月なら、札幌でも那覇でも3〜5分です。12月は那覇で8分、つくばで22分、札幌では76分かかります。くもりや雨の日は、もっと長くなります。赤ちゃんの場合の時間は調べられていないので、大人の場合の時間を目安にしてください。

日本の提言は、適度な外気浴と外遊びを勧めています。日焼け止めを使いすぎないように、とも書いています。

一方で、皮膚に害がなく、ビタミンDも十分に作れる日光の量は、まだはっきり決まっていません。晴れた日に外へ出る機会をつくりつつ、足りないビタミンDは食べものとサプリで補うのが確実です。

食べもので増やすなら、鮭と卵黄

提言が挙げている例では、鮭は15gあまりで5マイクログラム、卵黄は1個で2.5マイクログラムのビタミンDが摂れます。野菜、穀物、豆、いもには、あまり含まれていません。

提言は、カルシウムも一緒に摂るよう勧めています。→卵の出し方 →カルシウムの話

アレルギーで卵や乳製品を除いている赤ちゃんは、ビタミンDとカルシウムが減りやすくなります。除いている食材があるなら、小児科で相談してください。

摂りすぎを防ぐために、守ること

日本の提言は、サプリを使うなら、用法と用量を守って医師の指導のもとで、としています。使い始めたら、次の健診で一度伝えておくと安心です。

始める前に、主治医に相談してほしい場合

早産などで小さく生まれた赤ちゃん、肝臓や腸の病気がある赤ちゃんは、ビタミンDが足りなくなりやすく、必要な量も変わります。自己判断で始めず、先に主治医に相談してください。

血液のカルシウムが高いと言われたことのある赤ちゃんは、サプリを使わないでください。

出典

  1. 日本小児医療保健協議会 栄養委員会「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」日本小児科学会雑誌 2025;129(3):494-496.
  2. Nakano S, et al. Current vitamin D status in healthy Japanese infants and young children. J Nutr Sci Vitaminol. 2018;64(2):99-105.(0〜5か月50人:欠乏34%、不足18%。母乳26人:欠乏50%。ミルク・混合19人:欠乏10.5%。6か月以降240人:欠乏1.7%)
  3. Sakamoto Y, et al. Physiologic leg bowing is not a physiologic condition but instead is associated with vitamin D disorders in toddlers. Calcif Tissue Int. 2020;106(2):95-103.(レントゲンでくる病の変化がないO脚の幼児33人と、健康な子66人。血液のビタミンDが20ng/mL未満の子は39%と14%)
  4. Sakamoto Y, et al. Vitamin D supplementation improves genu varum in toddlers: two-center pilot study. J Bone Miner Metab. 2025;43(3):265-273.(O脚の10〜30か月の子90人。1日400IUを足した30人と、足さなかった60人を、あとから記録で比べた研究)
  5. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(乳児のビタミンD:目安量 1日5µg、耐容上限量 1日25µg)
  6. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」(第8版)増補2023年(人乳:ビタミンD 0.3µg/100g)
  7. Wagner CL, Greer FR. Prevention of rickets and vitamin D deficiency in infants, children, and adolescents. Pediatrics. 2008;122(5):1142-1152.
  8. American Academy of Pediatrics. Vitamin D for Babies, Children & Adolescents. HealthyChildren.org、2022年8月24日更新
  9. Munns CF, et al. Global consensus recommendations on prevention and management of nutritional rickets. J Clin Endocrinol Metab. 2016;101(2):394-415.
  10. NHS. Vitamins for children.
  11. Tan ML, Abrams SA, Osborn DA. Vitamin D supplementation for term breastfed infants to prevent vitamin D deficiency and improve bone health. Cochrane Database Syst Rev. 2020;12:CD013046.
  12. 国立環境研究所「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」2013年8月30日(成人、顔と両手の甲600cm²、晴天、5.5µgを作る時間)
  13. 森下仁丹「BabyD」公式サイト(1滴あたりビタミンD 2.0µg、生後1か月頃より1日1〜2滴。内容量3.3g、約90滴分。開封後は3か月を目安。2026年9月確認)
  14. 森下仁丹「BabyDのよくある質問」(飲ませ方、食べものに混ぜる方法、日光浴をした日の使用。2026年9月確認)
  15. 明治「明治ほほえみ」商品情報(13.5%調乳液100mLあたり ビタミンD 0.88µg。2026年9月確認)
  16. 森永乳業「森永はぐくみ」商品情報(粉100g当たり ビタミンD 6.5µg)、同「母乳とミルク」(専用スプーンすりきり約2.6gで、できあがり量20mL。2026年9月確認)
  17. アサヒグループ食品「和光堂レーベンスミルク はいはい」商品情報(粉100g当たり ビタミンD 7.0µg)、同「はいはいの作り方」(添付スプーンすりきり1杯約2.6gで、できあがり量20mL。2026年9月確認)

更新履歴

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