哺乳びんの消毒は、離乳食を始めるころまで

公開 2026年9月20日・最終更新 2026年10月20日

この記事を書いた人

内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

哺乳びんの消毒をいつまで続けるかは、日本の公的な資料には書かれていません。アメリカは生後2か月、イギリスは12か月と、国でも分かれています。

このサイトは、生後2か月までは毎回、そのあとは離乳食を始める5〜6か月ごろを区切りにします。電子レンジの消毒が使えなくなった事情と、消毒器の選び方も書きます。

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洗い終えた哺乳びん2本と乳首とキャップを、ふきんの上に伏せて乾かしているところと、コップに立てた哺乳びん用のブラシのイラスト

「いつまで」の答えは、国によって違います

厚生労働省が訳して公開している、WHOの粉ミルクの作り方のガイドラインには、使った哺乳びんは毎回洗って消毒する、と書いてあります。対象は12か月以下の赤ちゃんで、何か月でやめてよいかは書いてありません。

哺乳びんの消毒を、いつまで勧めているか
出どころ勧め方
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)生後2か月未満の子、早く生まれた子、免疫が弱い子は毎日。それより大きい健康な子は、毎回ていねいに洗っていれば、毎日は要らないかもしれない
イギリスの国民保健サービス(NHS)少なくとも12か月まで
WHOのガイドライン(厚生労働省の仮訳)12か月以下が対象。やめる時期は書いていない
ピジョン(助産師監修の記事)生後3〜4か月ごろまで。そのあとは、物を口に入れるようになったら終えてよい
ミルトン(杏林製薬)大体1歳くらいまで

答えが分かれるのは、決め手になる研究が無いからです。健康な赤ちゃんで、洗うだけの家庭と消毒もする家庭を比べた試験は、探しても見つかりませんでした。

生後2か月までは、毎回消毒しましょう

生後2か月までは消毒するという点で、どの資料も一致しています。WHOのガイドラインは、粉ミルクや哺乳びんにつく菌の感染が一番起きやすいのは、新生児と生後2か月未満の赤ちゃんだと書いています。

生後2か月までは、使うたびに洗って消毒してください。母乳をしぼって哺乳びんで飲ませる時も同じです。

早く生まれた子や、小さく生まれた子、退院の時に感染に気を付けるよう言われた子は、いつまで続けるかを小児科で聞いてください。

区切りは、離乳食を始める5〜6か月ごろ

このサイトは、離乳食を始める5〜6か月ごろを区切りにします。

5〜6か月ごろの赤ちゃんは、自分の手もおもちゃも何でも口に入れ、スプーンや食器も使い始めるので、哺乳びんだけを消毒し続ける意味は小さくなっていきます。

消毒をやめても、毎回洗うのは変わりません。飲み残しは捨てて、その日のうちに洗いましょう。

消毒をやめたあとも、かぜや下痢のあいだ、梅雨や夏は消毒に戻すと安心です。1歳まで続けたい人は、続けて構いません。

消毒を忘れて使ってしまったら?

洗ってある哺乳びんなら、消毒を忘れたまま1回使ってしまっても、赤ちゃんに変わった様子がなければ、心配しすぎなくて大丈夫です。次に使う時から、いつもどおり消毒してください。

生後2か月未満の赤ちゃんで、熱がある、ミルクを飲まない、ぐったりしている、といった様子がある時は、小児科に相談してください。

消毒の前に、汚れをしっかり洗い落としましょう

汚れが残っていると、消毒しても菌は残ります。イギリスの家庭で使われている哺乳びんを調べた研究では、「洗って消毒した」という150本の4%から、黄色ブドウ球菌が見つかりました。

同じ研究で、一番汚れていたのは、蓋の内側のねじと、乳首の内側でした。

飲み終わってすぐに洗えない時は、水につけておくと汚れがこびりつきません。

煮沸、薬液、蒸気のどれでも、効き目は変わりません

菌をつけた哺乳びんを洗ってから、薬液と、熱を使う3つの方法で消毒して比べた研究では、4つとも菌は十分に減り、方法による差はありませんでした。家で続けやすいものを選んでください。

煮沸は鍋があればできて、お金はかかりません。煮沸する時間は国やメーカーで3分から10分まで幅があるので、哺乳びんの説明書に合わせてください。プラスチックのびんや乳首は、長く煮ると変形することがあります。

薬液は、つけておくだけです。ミルトンなら、水4Lに錠剤2つを溶かし、1時間以上つけてください。取り出したら、すすがずに使えます。液は24時間ごとに作り替えましょう。

蒸気の消毒には、電気の消毒器を使います。→電気の消毒器

鍋での煮沸を1日に何回も、半年続けるのは大変で、夜中の授乳のあとに眠いまま熱湯を扱うと、やけどをするかもしれません。このサイトは、薬液か消毒器を勧めます。

電子レンジの消毒は、哺乳びんの表示を見てから

専用の容器に水と哺乳びんを入れて電子レンジにかける方法は、手軽で広く使われてきましたが、2024年から事情が変わりました。

電子レンジのメーカーの団体である日本電機工業会が、電子レンジを調理以外に使わないよう呼びかけています。発煙や発火、やけどの原因になるためで、使ってはいけない例に「哺乳ビンの消毒」を挙げています。

日本電機工業会の呼びかけを受けてピジョンは、2024年2月ごろから、哺乳びんや乳首の表示を「レンジ○」から「レンジ×」に変えました。びんの素材は同じです。リッチェルも同じように表示を変えました。

ピジョンは、電子レンジ用の消毒ケースも2023年4月で作るのをやめています。

電子レンジ用の容器をいまも売っているメーカーはありますが、使えるかどうかは哺乳びんの表示で決まります。

食洗機は、消毒の代わりになりません

イギリスの国民保健サービスは、食洗機では洗えても消毒にはならない、としています。アメリカのCDCは、高温と加熱乾燥で回せば足りるとしていますが、温度は機種によって違います。

食洗機で洗っても、消毒をする月齢のあいだは、別に消毒してください。

そもそも食洗機に入れられない哺乳びんもあります。ピジョンは、びんの底や乳首の細かいところの汚れが落ちにくいとして、食洗機を避けるよう案内しています。

拭かずに、乾かしましょう

消毒したあとに、ふきんで拭くと、ふきんの菌が移ります。CDCは、清潔なふきんかペーパータオルの上に置いて、自然に乾かすよう勧めています。

水切りラックは、水がたまって、かびや菌が増えやすい場所です。使うなら哺乳びん専用にして、ラックもときどき洗ってください。

取り出す前に手を洗いましょう。乾いたら、乳首と蓋を付けて組み立てておくと、内側が汚れません。

消毒器は要る?

このサイトは、消毒器はあったほうがよいと考えます。消毒器の効き目は煮沸や薬液と変わりませんが、手間がかからず、やけどの心配も減ります。

ミルクは夜中にも作ります。目をこすりながら鍋の熱湯を扱うと、やけどをするかもしれません。消毒器なら、お湯を沸かすことも、熱い哺乳びんをトングでつかむこともありません。

電気の消毒器は、洗った哺乳びんを入れて水を注ぎ、ボタンを押すだけで、蒸気で除菌して温風で乾かします。終わったら、そのまま入れておけるので、拭くことも、水切りラックに並べることもありません。

電子レンジを使わない蒸気なので、「レンジ×」の哺乳びんにも使えます。100℃に耐えて煮沸できるものなら、さく乳器やおしゃぶり、マグにも使えます。

ピジョン「ポチット」「ポチットスリム」

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除菌は約12分、乾燥まで入れて約57分で終わります。240mLの哺乳びんが5本入る「ポチット」は17,380円、幅15cmで2本入る「ポチットスリム」は14,080円です(ピジョン公式オンラインショップの税込価格、2026年9月時点)。

消毒器を買わずに済ませるなら、つけておくだけで熱湯を使わない薬液にしましょう。

ミルトンの錠剤「Milton CP」

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水に溶かして使う、哺乳びんの消毒用の錠剤です。

旅行には、使い捨ての哺乳びんもあります

旅先では哺乳びんを洗う場所も消毒する道具も無いことが多いですが、消毒済みで売られている、使い切りの哺乳びんがあります。

相模ゴム工業の「chu-bo!(チューボ)」は、開けてすぐ使えます。じゃばらを伸ばして使うので、かばんの中では高さ7.6cmで、250mLまで入ります。値段は4個で1,672円です。使い切りなので、洗って使い回すことはできません。

相模ゴム工業「chu-bo!(チューボ)」

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1個に250mLまで入る、使い切りの哺乳びんです。

1個あたり約400円なので毎日使うものではありませんが、旅行のあいだだけ使えば、持っていく哺乳びんを減らせます。

缶の液体ミルクなら、乳首のついたアタッチメントを缶に付けて飲ませることもできます。→液体ミルクと旅行の記事

出典

  1. Centers for Disease Control and Prevention. How to Clean, Sanitize, and Store Infant Feeding Items.(2025年3月19日。消毒を毎日勧める対象、食洗機、乾かし方。2026年9月確認)
  2. NHS. Sterilising baby bottles.(少なくとも12か月まで。食洗機は消毒にならない。2026年9月確認)
  3. 世界保健機関/国連食糧農業機関「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」2007年(厚生労働省 仮訳)(対象は月齢12か月以下。感染が一番起きやすいのは新生児と生後2か月未満)
  4. ピジョン ぼにゅ育「哺乳びんの消毒ってやらなきゃダメ?いつまでやればいい?」(助産師監修。生後3〜4か月ごろまで。体調不良の時、梅雨、夏は月齢に関係なく。2026年9月確認)
  5. 杏林製薬 ミルトン「よくあるご質問」、「はじめてのMilton CP」(1歳くらいまで。水4Lに2錠、1時間以上、24時間で作り替え、すすがずに使える。2026年9月確認)
  6. Redmond EC, Griffith CJ, Riley S. Contamination of bottles used for feeding reconstituted powdered infant formula and implications for public health. Perspect Public Health. 2009;129(2):85-94.(家庭の哺乳びんの汚れ)
  7. Redmond E, Griffith CJ. Disinfection methods used in decontamination of bottles used for feeding powdered infant formula. J Fam Health Care. 2009;19(1):26-31.(4つの消毒方法の比較)
  8. 一般社団法人 日本電機工業会「オーブンレンジ・電子レンジ 安全/正しい使い方」(調理以外の目的に使用しない。2026年9月確認)
  9. ピジョン「『電子レンジ除菌』不可へ表示変更のお知らせ」(2024年2月ごろから順次。電子レンジ用の消毒ケースは2023年4月で製造終了。2026年9月確認)
  10. リッチェル よくあるご質問「電子レンジ消毒『○』だったのに『×』になったのはなぜですか」(2024年4月16日)
  11. ピジョン 商品Q&A「哺乳びんや乳首を食器洗い乾燥機で洗浄してもよいですか?」(2026年9月確認)
  12. ピジョン「スチーム除菌・乾燥器 ポチットシリーズ」(時間、入る本数、大きさ。価格はピジョン公式オンラインショップの税込。2026年9月確認)
  13. 相模ゴム工業 サガミショップ「chu-bo!(チューボ)4コパック」(消毒済み、たて7.6cm、最大目盛250mL、税込1,672円。2026年9月確認)

更新履歴

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また、ここに書かれている内容は著者個人の見解であり、所属する機関を代表するものではありません。

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