おしゃぶりは、いつからいつまで使っていい?
このサイトでは、昼寝と夜の寝かしつけに、おしゃぶりを使うことを勧めます(アメリカ小児科学会準拠)。寝る時におしゃぶりを使っていた赤ちゃんは、眠っている間に突然亡くなる「乳幼児突然死症候群(SIDS)」が少なかった、という研究がいくつもあります。
長く使うと、歯並びに影響が出ます。SIDSが多いのは生後6か月までで、歯並びへの影響が出てくるのは、2年を超えて使い続けた時です。時期が重ならないので、赤ちゃんのうちは寝かせる時に使い、遅くとも3歳までにやめれば、SIDSと歯並びの両方に配慮できます。
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寝かせる時のおしゃぶりで、SIDSは減る?
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、それまで元気だった赤ちゃんが、眠っている間に突然亡くなる病気です。前ぶれはなく、原因もわかっていません。窒息などの事故とは別のものです。
日本では2025年に、0歳の赤ちゃん59人がSIDSで亡くなりました。生まれた赤ちゃん10万人あたり8.8人で、約1万1千人に1人です。約7割は、生後6か月になる前に起きていました。
SIDSで亡くなった赤ちゃんと元気な赤ちゃんを比べた研究を7つまとめると、寝る時におしゃぶりを使っていた赤ちゃんは、SIDSが半分以下でした。いろいろな国の研究で、同じ結果が出ています。
ただ、なぜおしゃぶりでSIDSが減るのかは、まだわかっていません。おしゃぶりのおかげだと言い切れる研究も、まだありません。
SIDSを減らすために、日本でもアメリカでも最初に勧められているのは、あおむけに寝かせることです。おしゃぶりは、あおむけ寝に加えてできることです。
おしゃぶりは、寝かせる時に使い、寝入ったら外しましょう
日本では、1歳2か月の子の約半分が、おしゃぶりを使ったことがありました。使う場面でいちばん多いのは、寝る時や眠い時です(東京都の区の歯科健診で、2002〜2004年に調べたもの)。
アメリカ小児科学会の勧めは、昼寝の時も夜も、寝かせる時におしゃぶりを差し出すことです。イギリスのSIDSの団体も、使うなら毎回の寝かしつけで使うよう勧めています。
赤ちゃんが寝入ったら、おしゃぶりは口から外してください。ピジョンのおしゃぶりの注意書きにある使い方です。
寝入ってすぐにおしゃぶりが口から外れた赤ちゃんでも、寝ている間のSIDSは少なかったと報告されています。外して心配はいりません。
寝ている間に、外したおしゃぶりをくわえさせ直す必要はありません。おしゃぶりを嫌がる赤ちゃんに、無理にくわえさせる必要もありません。少し大きくなってから、もう一度試してみてください。
おなかが空いて泣いている時は、おしゃぶりではなく、母乳か育児用ミルクを飲ませましょう。アメリカ小児科学会は、食事の代わりや、食事を遅らせるためにおしゃぶりを使わないよう書いています。
寝かせる時は、ひもやクリップで留めない
寝かせる時と寝ている間は、おしゃぶりをひもで首にかけたり、クリップで服に留めたりしないでください。首に巻きつく危険があります。ぬいぐるみや布が付いたおしゃぶりも、寝かせる時には使わないようにしましょう。
おしゃぶりは、いつから使える?
おしゃぶりを新生児から使えるかどうかは、おっぱいを直接飲んでいるかどうかで変わります。
おっぱいを直接吸っていない赤ちゃん(育児用ミルクや、搾乳した母乳を哺乳びんで飲んでいる赤ちゃん)は、生まれてすぐから使えます(アメリカ小児科学会)。
おっぱいを直接飲んでいる赤ちゃんは、授乳が順調になってから使い始めましょう。目安は生後3〜4週です(アメリカ小児科学会の保護者向けのページ)。
授乳が順調とは、母乳の量が足りていて、赤ちゃんの吸いつきが安定し、乳首が痛まず、体重が順調に増えていることです。順調になるまでの日数は、人によって違います。
WHOは、おしゃぶりでおっぱいを吸う回数が減ると、母乳の量が減ることがあると注意しています。
一方で、母乳で育てている健康な赤ちゃんを、おしゃぶりを使う組と控える組に分けた試験もあります。生まれてすぐから使っても、生後4か月まで母乳を続けている割合は変わりませんでした。おしゃぶりのせいで、赤ちゃんがおっぱいを嫌がるようになる(乳頭混乱)という根拠も、ほとんどありません。
6か月を過ぎても使い続けると、中耳炎が増えます
中耳炎は、生後6か月までは少なく、6か月を過ぎると増えてきます。おしゃぶりを使う子は、使わない子より中耳炎が1.2〜2倍多く、特に2〜3歳で差が出ます(アメリカ小児科学会)。
フィンランドでは、乳児健診で保護者に、おしゃぶりを減らすよう伝えたところ、中耳炎が29%少なくなりました。
アメリカ小児科学会の中耳炎のガイドラインも、生後6か月を過ぎたらおしゃぶりを減らすか、やめると、中耳炎を減らせるかもしれない、と書いています。
SIDSが多いのは、生後6か月までです。6か月を過ぎたら、日中は使わず、寝かせる時だけにしていくと安心です。
長く使うと、前歯がかみ合わなくなることがあります
おしゃぶりを長く使うと、奥歯をかんでも上と下の前歯の間にすき間があく「開咬(かいこう)」が起きやすくなります。奥歯のかみ合わせが横にずれる「交叉咬合(こうさこうごう)」も増えます。
開咬が多いのは、使った期間が長い子です。昭和大学が東京都の2歳6か月の子459人を調べた研究では、おしゃぶりを使った期間が1年半までの子は、開咬が1割以下でした。2年を超えて使っていた子では、約半数が開咬になっていました。
同じ研究で、2歳6か月までにおしゃぶりをやめていた子の開咬は5%ほどで、使ったことがない子(8%ほど)と大きくは変わりませんでした。
開咬は、おしゃぶりをやめると自然に治ることが多いです。ただ、治らない子もいます。ブラジルで乳歯の時から5年間見た研究では、開咬は約7割が自然に治りましたが、交叉咬合は9割近くが残っていました。
上の前歯が前に出る「出っ歯」は、おしゃぶりより、指しゃぶりで起きやすいとされています(アメリカ小児歯科学会)。
歯並びは、おしゃぶりの形より、やめる時期で変わります
「歯並びに配慮した形」をうたうおしゃぶりがあります。ただ、普通の形より歯並びを守れる、というはっきりした根拠はありません。形で選ぶ必要はない、とこのサイトは考えます。
ドイツで、首の細いおしゃぶりに替えた子、普通のおしゃぶりを使い続けた子、おしゃぶりをやめた子の歯並びを比べた試験があります。いちばん良かったのは、やめた子でした。
選ぶ時は、歯並びより、壊れにくさと洗いやすさを見てください。アメリカ小児歯科学会は、つなぎ目のない一体成型のおしゃぶりは壊れにくく、のどに詰まる危険が少ないとしています。
このサイトでは、一体成型のリッチェル「吸せつラボ オールシリコーンおしゃぶり」を勧めます。つなぎ目がないので、汚れもたまりにくいおしゃぶりです。
リッチェル「吸せつラボ オールシリコーンおしゃぶり」
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おしゃぶりは、遅くとも3歳までにやめましょう
おしゃぶりは、遅くとも3歳までにやめましょう(アメリカ小児歯科学会準拠)。
日本の小児科と小児歯科の考え方(2005年)は、歯並びの面から、おしゃぶりはできるだけ使わない方がよい、としています。SIDSのことは、考えに入っていません。SIDSも合わせて考えると、少なくとも生後6か月までは、使うことに意味がある、とこのサイトは考えます。
おしゃぶりは、指しゃぶりより早くやめる子が多いです。アメリカの研究では、使っていた期間の平均は、おしゃぶりが14か月、指しゃぶりが33か月でした。
やめる時は、叱るより、使わなかった日をほめてください。叱ると、子どもが意地になって、かえって長引くことがあります(アメリカ小児歯科学会)。早いうちに無理に取り上げると、指しゃぶりが続きやすい、という研究もあります。
前歯が閉じない、かみ合わせがずれているなど、気になることがあれば、歯科で相談してください。
うちでやっていたこと
私の家庭では、アメリカ小児科学会に準拠して乳児の間はおしゃぶりをSIDS予防のため使用しました。ただ、歯並びが気になるので1歳になったタイミングでやめました。妻は、自我が出てくる前の1歳ごろのほうが、やめやすいと考えていました。
おしゃぶりは、使うたびにしっかりと見て、1〜2か月で新しくしてください
赤ちゃんが噛むと、おしゃぶりの乳首に傷がつき、切れることがあります。切れた乳首は、のどに詰まるおそれがあります。使うたびに乳首を引っ張って、傷や裂け目がないかを見てください。
傷がなくても、ピジョンとNUKは1〜2か月で、コンビは1か月〜1か月半で新しいものに替えるよう勧めています。白く濁った時や、形が変わった時も替えどきです。
サイズは、月齢に合ったものを使いましょう。大きくなった子は、新生児用のおしゃぶりを丸ごと口に入れてしまうことがあります。
哺乳びんの乳首を、おしゃぶりの代わりにするのもやめてください。強く吸うと乳首が外れて、のどに詰まることがあります(アメリカ小児科学会)。
起きている時にホルダーで服に留めるなら、おしゃぶり用に作られたホルダーを使い、大人が見ている時だけにしましょう。リボンやひもで手作りしないでください。
消毒は、生後6か月ごろまで
生後6か月までは、哺乳びんと同じように消毒してください。6か月を過ぎたら、洗剤で洗って水ですすげば十分です(アメリカ小児科学会の保護者向けのページ)。
洗った後に乳首の中に水が残っていたら、指で押して出してください。煮沸した後に熱いお湯が残っていると、赤ちゃんの口がやけどします。
消毒の方法は、おしゃぶりの説明書に書いてあるものにしてください。煮沸、薬液、蒸気のやり方は、哺乳びんの消毒の記事に書きました。
出典
- Moon RY, Carlin RF, Hand I; Task Force on Sudden Infant Death Syndrome and the Committee on Fetus and Newborn. Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment. Pediatrics. 2022;150(1):e2022057990.(アメリカ小児科学会。あおむけ寝の勧め。寝かせる時のおしゃぶりは推奨度A。母乳の子は授乳が確立してから、それ以外はいつからでも。寝たあとは入れ直さなくてよい。無理強いしない。首にかけない、服に留めない)
- Moon RY, Carlin RF, Hand I. Evidence Base for 2022 Updated Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment to Reduce the Risk of Sleep-Related Infant Deaths. Pediatrics. 2022;150(1):e2022057991.(仕組みは不明。口から外れても、その睡眠のあいだは効果が続く。中耳炎は約1.2〜2倍で、特に2〜3歳)
- Hauck FR, Omojokun OO, Siadaty MS. Do pacifiers reduce the risk of sudden infant death syndrome? A meta-analysis. Pediatrics. 2005;116(5):e716-e723.(症例対照研究7本。最後の睡眠で使っていた時のオッズ比0.39)
- Psaila K, Foster JP, Pulbrook N, Jeffery HE. Infant pacifiers for reduction in risk of sudden infant death syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2017;4(4):CD011147.(無作為化比較試験は見つからなかった)
- こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」(SIDSの説明と、あおむけ寝の勧め。2026年10月確認)
- 厚生労働省「令和7(2025)年人口動態統計(確定数)」(上巻 乳児死亡 第6.16表、下巻 乳児死亡 第1表。0歳のSIDSは59人、出生10万対8.8、うち生後6か月未満41人)
- 高田貴奈, 石川朋穂, 渋谷泰子, 浅里仁, 井上美津子, 柳原正恵, 足立マリ子, 佐々龍二. おしゃぶりについての実態調査 第3報 1歳2か月児と2歳6か月児のおしゃぶり使用状況と保護者の意識. 小児歯科学雑誌. 2006;44(3):428-433.(1歳2か月児で使用経験なし49.2%)
- 浅里仁, 井上美津子, 石川朋穂, 渋谷泰子, 高田貴奈, 柳原正恵, 足立マリ子, 佐々龍二. おしゃぶりについての実態調査 第1報 おしゃぶりの使用状況について. 小児歯科学雑誌. 2005;43(5):652-659.(使う場面は寝るとき、眠いときが最も多い)
- American Academy of Pediatrics. HealthyChildren.org「Baby Pacifiers & Thumb Sucking: What Parents Need to Know」(母乳なら3〜4週ごろから。食事の代わりにしない。消毒は6か月まで。2026年10月確認)
- American Academy of Pediatrics. HealthyChildren.org「Pacifier Safety」(哺乳びんの乳首で代用しない。月齢に合うサイズ。2026年10月確認)
- The Lullaby Trust「Using a dummy safely」(イギリスのSIDSの団体。毎回の睡眠で使う。2026年10月確認)
- Jaafar SH, Ho JJ, Jahanfar S, Angolkar M. Effect of restricted pacifier use in breastfeeding term infants for increasing duration of breastfeeding. Cochrane Database Syst Rev. 2016;(8):CD007202.(生後4か月までの母乳の割合に差なし)
- WHO, UNICEF. Implementation guidance: protecting, promoting, and supporting breastfeeding in facilities providing maternity and newborn services: the revised Baby-friendly Hospital Initiative. 2018.(ステップ9。おしゃぶりで吸う回数が減ると、母乳の量が減ることがある)
- Zimmerman E, Thompson K. Clarifying nipple confusion. J Perinatol. 2015;35(11):895-899.
- Lieberthal AS, Carroll AE, Chonmaitree T, et al. The diagnosis and management of acute otitis media. Pediatrics. 2013;131(3):e964-e999.(生後6か月以降におしゃぶりを減らすか、やめると、中耳炎が減るかもしれない)
- Niemelä M, Pihakari O, Pokka T, Uhari M. Pacifier as a risk factor for acute otitis media: A randomized, controlled trial of parental counseling. Pediatrics. 2000;106(3):483-488.(中耳炎が29%少ない)
- American Academy of Pediatric Dentistry. Policy on Pacifiers. Revised 2024. The Reference Manual of Pediatric Dentistry. 2025:86-89.(アメリカ小児歯科学会。36か月までにやめる。出っ歯とII級は指しゃぶりとの関係が強い。形の表示より形と大きさ。一体成型は壊れにくい。叱るよりほめる。早く無理にやめさせると指しゃぶりが長引くことと関連。2026年10月確認)
- 小児科と小児歯科の保健検討委員会「おしゃぶりについての考え方」2005年1月12日(日本小児歯科学会の掲載資料の8〜9ページ。できるだけ使わない方がよい。2026年10月確認)
- Warren JJ, Slayton RL, Yonezu T, Bishara SE, Levy SM, Kanellis MJ. Effects of nonnutritive sucking habits on occlusal characteristics in the mixed dentition. Pediatr Dent. 2005;27(6):445-450.(使っていた期間の平均は、おしゃぶり14か月、指しゃぶり33か月)
- 石川朋穂, 高田貴奈, 渋谷泰子, 浅里仁, 井上美津子, 柳原正恵, 足立マリ子, 佐々龍二. おしゃぶりについての実態調査 第4報 2歳6か月児のおしゃぶりの使用状況と咬合関係について. 小児歯科学雑誌. 2006;44(3):434-438.(昭和大学。東京都の区の2歳6か月児459人。使用期間1〜18か月は開咬10%以下、19か月以上は30.4〜47.5%。2歳6か月までにやめていた子4.7%、使用経験なし7.9%)
- Góis EG, Vale MP, Paiva SM, Abreu MH, Serra-Negra JM, Pordeus IA. Incidence of malocclusion between primary and mixed dentitions among Brazilian children. A 5-year longitudinal study. Angle Orthod. 2012;82(3):495-500.(開咬の70.1%が自然に改善。交叉咬合の87.8%が残った)
- Wagner Y, Heinrich-Weltzien R. Effect of a thin-neck pacifier on primary dentition: a randomized controlled trial. Orthod Craniofac Res. 2016;19(3):127-136.(いちばん良かったのは、やめた子)
- Medeiros R, Ximenes M, Massignan C, et al. Malocclusion prevention through the usage of an orthodontic pacifier compared to a conventional pacifier: a systematic review. Eur Arch Paediatr Dent. 2018;19(5):287-295.(矯正型が通常型より不正咬合を防ぐと言うには、根拠が足りない)
- Fukumoto E, Fukumoto S, Kawasaki K, et al. Cessation age of breastfeeding and pacifier use is associated with persistent finger-sucking. Pediatr Dent. 2013;35(7):506-509.(14か月より前にやめた子は、指しゃぶりが続きやすい)
- ピジョン公式オンラインショップ「おしゃぶり」の注意事項(寝入ったら外す。使うたびに乳首を引っ張る。1〜2か月で交換。リボンやひもをホルダーに使わない。2026年10月確認)
- リッチェル公式ウェブショップ「吸せつラボ オールシリコーンおしゃぶり 新生児用」(一体型でつなぎ目がない。新生児用・3カ月から用、税込1,210円、食器洗い乾燥機・煮沸・薬液消毒OK。2026年10月確認)
- ダッドウェイ(NUKの輸入元)よくあるご質問、おしゃぶり比較表(1〜2か月で交換。白く濁る、形が変わったら交換。2026年10月確認)
- コンビ よくあるご質問「『おしゃぶり』交換頻度の目安は?」(1か月〜1か月半。2026年10月確認)
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