何をどれくらい食べれば鉄を十分摂取できるのか

公開 2026年9月7日・最終更新 2026年10月20日

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内科専門医で、2人の子の父です。論文や公的なガイドラインをもとに書いています。著者について

6〜11か月の赤ちゃんに必要な鉄は、1日4.5mgです。ほかの栄養素とちがって、鉄だけは一度きちんと計算しておいてください。

毎日の計算を減らすために、いつもの食事を鉄の確認ツールで計算しておきましょう。

ミルクが減った時や、食べる量や製品が変わった時、月齢が進んだ時には、計算を見直しましょう。

→なぜ鉄だけなのか、母乳とミルクで何が違うのか

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小皿4枚に1回分ずつ取り分けた、卵黄・赤身肉・青菜・粉末のイラスト

ためしに、1日ぶんを見てみる

まず、よく食べた日を想定して、ふつうの食材だけで1日4.5mgの鉄がとれるのかを足し算してみます。

母乳が中心で、よく食べた1日の例。
食べたもの鉄
卵黄 1個0.8 mg
牛もも赤身肉 15g0.4 mg
納豆 15g0.5 mg
小松菜(ゆで)20g0.4 mg
育児用ミルクの粉 10g をおかゆに0.65 mg
合計2.75 mg

かなり気合いの入った1日の食事でも、鉄は合計2.75mgで、目標の4.5mgより少ないです。

ふつうにがんばっても足りないということを、先に知っておいてほしいので書きます。鉄が足りないのは、あなたの努力のせいではありません。

足りない鉄は、鉄を添加したシリアルやおかゆで補う

さっきの例では、鉄が1日1.75mg足りませんでした。食材を増やしても赤ちゃんのおなかが先にいっぱいになるので、鉄を添加した食品を使うのがいちばん早いです。

鉄を添加した食品の候補は、ライスシリアルと育児用ミルクの粉で、どちらも粉なので水分を増やさずに混ぜられます。

鉄を添加したライスシリアル

お米の粉に鉄を加えた、おかゆのもとです。欧米では補完食の定番で、日本でも手に入るようになりました。→いつから使えるか、加熱は要るか

the kindest「ライスシリアル はじめてのおかゆ」は、100gあたり鉄17.8mg、385kcalです。1食に使う量は6gほどなので、1食で鉄1.1mg、23kcalがとれます。1日3食なら鉄3.2mg、69kcalになり、鉄は目標の4.5mgの7割がとれます。

「粉末おかゆ」とは別のものです

売り場には、お米だけを粉にした「粉末おかゆ」も並んでいます。粉末おかゆは、ライスシリアルと見た目も使い方もそっくりですが、鉄は含まれていません。鉄をねらうなら、栄養成分表示に鉄のmgが書いてあるものを選んでください。

鉄を添加した製品は、たいてい原材料に「ピロリン酸鉄」などの名前が出ているので、原材料の欄でも見分けられます。

the kindest「ライスシリアル はじめてのおかゆ」200g×1袋

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1袋200gで、1食に使う粉を6gとすると約33食分です。

→ほかの商品

育児用ミルクの粉

家にある育児用ミルクを、そのまま料理に使える点が便利です。育児用ミルクの粉は100gあたり鉄6.5mg、510kcalで、10gなら鉄0.65mg、51kcalです。

ただ、毎回ミルクの味がする食事は、赤ちゃんが飽きやすいです。ライスシリアルはおかゆと同じで味がほとんどないので、毎日使っても飽きにくいのが良いところです。

育児用ミルクの粉は無菌ではないため、料理に混ぜる時は、少なめの70℃以上のお湯で溶かしてから足してください。70℃以上に温めたベビーフードに、じかに溶かしてもかまいません。食べさせる前に、人肌まで冷ましてください。→育児用ミルクの記事

ライスシリアルと育児用ミルクの粉は、お湯で溶いたり、料理に混ぜたりして使います。粉のまま食べるものではないので、レバーや卵黄と「何g」で並べても意味がありません。いま食べているものに足して、鉄とカロリーを増やすものだと考えてください。

レバーはビタミンAが多いため、週に1〜2回までしか使えません。毎日使えるものの中では、1食6gで鉄が1.1mgとれて、おかゆにもスープにも混ぜられる、鉄を添加したライスシリアルが一番使いやすいです。

うちでやっていたこと

粉のいいところは、何にでも足せることです。おかゆだけでなく、スープでも、野菜のペーストでも混ざります。

うちの子は、とろみの少ないものを嫌がりました。ライスシリアルの粉を足すと、とろみがつくうえに、鉄とカロリーも一緒にとれます。食べてくれるようになって、鉄やカロリーも足りるようになりました。

離乳食を全部手作りするのは、いまの暮らしでは無理があります。うちは市販のベビーフードに、ライスシリアルか育児用ミルクの粉を足していました。

市販品は水分が多いぶん、粉を混ぜる余地があります。そこが足しやすいところです。→組み合わせの例

もう一度、見てみる

さっきの1日の食事に、ライスシリアルを組み込みました。ライスシリアルは、おかゆの代わりにしても、粉のままほかの料理に足してもかまいません。

6〜8か月・母乳が中心の場合。不足するカロリーは1日130kcalほど。
食べたもの鉄カロリー
ライスシリアル 6g × 3食3.2 mg69 kcal
卵黄 1個0.8 mg54 kcal
小松菜(ゆで)20g0.4 mg3 kcal
合計4.4 mg126 kcal

合計は鉄4.4mg、カロリー126kcalで、3品だけで目標の4.5mgがほぼとれます。

豚レバーを使える日なら、5g足すだけで1日の鉄が5mgを超えます。

食材だけでは、鉄は1日3mg台までしかとれません

食材だけで組むと、どれだけがんばっても、鉄が3mg台のうちに、赤ちゃんが食べられる量の限りに達してしまいます。鉄を添加した粉末のおかゆやシリアルをひとつ入れると、食べる量をほとんど増やさずに、4.5mgの近くまでとれます。母乳が中心の子では、鉄を添加した食品をひとつ入れるかどうかで、とれる鉄の量が大きく変わります。

鉄を添加した食品を知らないまま、食材だけでがんばっていると、鉄が足りない日がずっと続いてしまいます。

壁になるのは、おなかの大きさです

赤ちゃんが1回に食べられる量はごくわずかなので、カロリーをとりすぎることより、必要な量を食べきれないことのほうが先に問題になります。だから、同じ量にどれだけ鉄が含まれているかが大事になります。

粉末のいいところは、お湯の量で濃さを自由に決められることです。同じ6gのライスシリアルでも、お湯を減らせば濃いおかゆになります。おかゆの量と濃さの見当は、カロリーの記事とカロリー計算ツールでつけられます。

市販のベビーフードにも、鉄を配合したものが増えました。粉末のだしやソースに鉄を入れた製品には、5〜6か月ごろから使えるものもあります。ベビーフードを選ぶ時も、栄養成分表示に鉄が何mg含まれているかが書いてあるものを選びましょう。鉄の量が書いていない商品では、足してもどれだけ鉄がとれたかが分かりません。

足りない日があっても大丈夫です

体に蓄えた鉄が減っていくのには時間がかかるので、鉄が足りない日があっても、すぐに何かが起きるわけではありません。毎日ぴったり4.5mgを目指さなくて大丈夫です。

大事なのは、鉄がほとんどとれない日を続けないことです。鉄を添加した食品をひとつ決めておけば、それだけで防げます。

そのうえで、鉄の量が目標より少ない日が続くようなら、医師に相談しましょう。鉄の摂取量が分かっていれば、効率的な栄養指導や検査ができます。→受診の目安

何にどれだけ鉄が含まれているか

下の表は鉄の量を計算する時に使う表で、食べものを1回に使いそうな量で並べました。いつもの食事を組み替えたくなった時にも使ってください。

鉄の量は文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」(第8版)増補2023年より。1回の量は6〜11か月の目安で、お子さんによって変わります。
食べもの100gあたり1回の量その量の鉄
卵黄4.8 mg1個(16g)0.8 mg
育児用ミルクの粉(料理に混ぜる分)6.5 mg10 g0.65 mg
豚レバー ※13.0 mg5 g0.65 mg
納豆3.3 mg15 g0.5 mg
鶏レバー ※9.0 mg5 g0.45 mg
木綿豆腐1.5 mg30 g0.45 mg
牛もも赤身肉2.8 mg15 g0.4 mg
小松菜(ゆで)2.1 mg20 g0.4 mg
オートミール3.9 mg10 g0.39 mg
きな粉8.0 mg3 g0.24 mg
ほうれん草(ゆで)0.9 mg20 g0.18 mg
まぐろ赤身1.1 mg15 g0.17 mg
高野豆腐(乾)7.5 mg2 g0.15 mg
鮭0.5 mg15 g0.08 mg
たら(白身魚)0.2 mg15 g0.03 mg
うどん(ゆで)0.2 mg40 g0.08 mg
鶏ささみ0.3 mg15 g0.05 mg
しらす干し0.6 mg5 g0.03 mg
全粥(5倍粥)ごく微量50 gほぼ 0 mg

※鶏レバーや豚レバーは、ビタミンAが多いので、週に1〜2回、5gほどまでにしてください。あとの項目で説明します。

表の育児用ミルクの行は、料理に混ぜる粉の量です。飲むミルクの鉄は、別に数えてください。

飲むミルクの鉄は、できあがり100mLで0.85mgほどで(粉13gで100mLになる製品の場合)、1日500mL飲んでいれば、ミルクだけで鉄が4.2mgとれます。→ミルクを飲んでいる子の考え方

意外なのは、しらすかもしれません。しらすからカルシウムはとれますが、鉄はほとんど含まれていません。逆に卵黄は、1個で鉄が0.8mgとれます。→ゆで方と量

魚は、白身より赤身のほうが鉄を多く含んでいます。同じ15gで比べると、たらは0.03mg、まぐろの赤身は0.17mgで、5倍以上の差があります。

使いやすいのは、骨がなく、鮮度も分かりやすいまぐろの刺身です。加熱してからほぐして使ってください。離乳食では白身魚が定番ですが、鉄をねらうなら赤身のほうが確実です。→赤身魚を避けなくてよい理由

ほうれん草、鶏ささみ、おかゆは、鉄が少ない食べものです

ほうれん草は「鉄といえば」の代表格ですが、100gあたりの鉄は、生の2.0mgがゆでると0.9mgに減り、ゆでた小松菜の2.1mgの半分以下になります。補完食では必ず加熱するので、使うなら小松菜のほうが確実です。

鶏ささみは最初のたんぱく質の定番ですが、鉄は100gあたり0.3mgで、牛もも赤身肉の2.8mgの9分の1です。やわらかくて使いやすい食材ですが、鉄をとるには向いていません。

おかゆの鉄はほぼ0で、主食をどれだけ食べても、鉄は増えません。

吸収率をかけ算しないでください

表の鉄の量も、目標の4.5mgも、どちらも食べる鉄の量なので、そのまま足し算してください。このあと吸収率の話が出てきますが、表の鉄の量に吸収率をかける必要はありません。かけてしまうと、とんでもない量の鉄が必要だという計算になります。

吸収率の違いが関わるのは、何と何を組み合わせて食べるかという話です。次の項目で説明します。

ヘム鉄と非ヘム鉄で、吸収がまるで違う

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、含まれている食べものと、吸収されやすさが違います。

吸収率はおおよその目安です。体の鉄の状態や、一緒に食べたものによって大きく変わります。
種類多い食べもの吸収率の目安
ヘム鉄赤身の肉、魚、レバー20%
非ヘム鉄豆、オートミール、ほうれん草、小松菜、卵黄5%

同じ1mgの鉄を食べても、体に吸収されるのは、お肉からなら0.2mg、ほうれん草からなら0.05mgだけで、4倍の差があります。

ほうれん草や小松菜は鉄が多い野菜として知られていますが、鉄を野菜だけで補うのはかなり大変です。

吸収されにくいほうの鉄は、果物と組み合わせる

非ヘム鉄はそのままでは体に吸収されにくいですが、ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。

早見表のうち、納豆・木綿豆腐・小松菜・オートミール・きな粉・ほうれん草・高野豆腐、それに卵黄が非ヘム鉄です。非ヘム鉄の食べものを出す日は、食後に果物を少し足してください。表の上では同じ0.4mgでも、体に吸収される量が変わります。

動物性のたんぱく質にも、非ヘム鉄を吸収されやすくする働きがあるので、青菜に少量のお肉を混ぜて、野菜だけの皿にしないようにしましょう。

合計が足りていても、中身が偏っていると足りません

目標の4.5mgは、肉や魚もふくむふつうの食事を前提にした量です。豆と野菜だけで4.5mgまで積み上げても、体に実際に吸収される鉄は、前提より少なくなります。

WHOは、この時期は肉・魚・卵を毎日とること、そして豆や野菜だけの食事では、鉄を添加した食品かサプリメントを使わないかぎり必要量を満たせないとしています。鉄の合計だけでなく、肉・魚・卵か、鉄を添加した食品のどちらかを、毎日の献立に入れましょう。

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」(第8版)増補2023年より。いずれも生の状態。
果物ビタミンC(100gあたり)
いちご62 mg
みかん32 mg
バナナ16 mg
りんご(皮なし)4 mg

りんごは、ビタミンCがほとんどありません

りんごは離乳食で最初に使う果物の定番ですが、ビタミンCは100gに4mgしか含まれておらず、いちごの15分の1です。食べやすくて消化にもやさしいので、果物として出すのは何の問題もありませんが、鉄の吸収を助けることは期待できません。

鉄の吸収を助ける果物には、いちごかみかんを選んでください。

ビタミンCは加熱すると減るので、鉄の吸収を助ける働きは、生の果物のほうが強く出ます。初めての果物は加熱してから試して、大丈夫だと分かったら生のすりおろしに移していってください。→果物の進め方

赤身肉とレバーを、少しずつ

鉄をとるなら、牛や豚の赤身肉が確実です。6か月ごろから、少量ずつ始めて構いません。すりつぶす、ペーストにする、といった食べやすい形にしてください。

レバーは鉄が非常に多い食材ですが、ビタミンAも多く、とりすぎになりやすいです。鶏レバーや豚レバーは、週に1〜2回、5gほどまでにしてください。

→粉末のレバーの量と頻度

乾燥レバーはグラム数が変わります

粉末や乾燥タイプは、水分が抜けているぶん、同じ5gでも中身の量が違います。製品に書かれている使用量の目安に従ってください。

フォローアップミルクは、ミルクの代わりではありません

フォローアップミルクは、名前が似ているので混同されがちですが、育児用ミルクとは別のものです。

フォローアップミルクは牛乳のかわりとして作られているので、育児用ミルクのかわりに使うと、鉄以外の栄養が足りなくなることがあります。亜鉛や銅が含まれているかは商品によって違うので、栄養成分表示を見てください。→牛乳とミルクの記事

鉄を足したいという目的だけで、育児用ミルクから切り替えないでください。

→育児用ミルク・フォローアップミルク・牛乳の鉄の量の違い →フォローアップミルクのデメリット

市販のベビーフードに、ちょい足しする

鉄を配合した製品を使わない日は、ふつうのベビーフードに、下のような食材を足してください。市販品は水分が多く、鉄もカロリーも控えめなので、足す前提で見ると使いやすくなります。

足す食材を冷凍しておくと、食事の回数が増えても、毎回作らずに済みます。→組み合わせの例 →冷凍の日数と解凍の仕方

アレルギーの確認に使える、食材の記録表

「離乳食きろく」は、初めて食べた食材と、食べたあとの様子を記録する無料のツールです。卵や乳製品のようなアレルギーの原因になりやすい食材について、試した日と量や、口の周りが赤くなったなどの反応を残せます。記録は食材ごとに一覧で見られるので、小児科で相談する時にそのまま見せられます。会員登録は要りません。記録する食材を選んでください。

出典

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  2. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」(第8版)増補2023年
  3. 厚生労働省「別表1 母乳及び乳児用調製粉乳の成分組成と表示の許可基準」
  4. 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
  5. WHO/PAHO. Guiding principles for complementary feeding of the breastfed child. 2003(肉・魚・卵を毎日。豆や野菜だけの食事は、鉄を添加した食品かサプリメントなしには必要量を満たせない)
  6. 厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」(FAO/WHO 2007年の邦訳。粉ミルクは70℃以上のお湯で溶かす)
  7. the kindest 公式オンラインショップ「ライスシリアル はじめてのおかゆ」栄養成分表示(1袋200g当たり エネルギー770kcal、鉄35.6mg。2026年9月確認)。1食約6gは、内容量200gと「約33食分」の表示から計算。製品がリニューアルされると変わるので、買うときは表示を見てください

ヘム鉄・非ヘム鉄の吸収率は文献によって幅があり、ここでは説明のための目安として示しています。1回に使う量は6〜11か月の目安で、お子さんによって変わります。

ライスシリアルの鉄とカロリーは、実際に売られている製品の栄養成分表示から計算しました。製品によって数字は違うので、お使いのものの表示を見てください。

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