鉄の早見表。何をどれだけ食べれば1日4.5mgに届くか
6〜11か月に必要な鉄は1日4.5mg。ほかの栄養素とちがって、鉄だけは一度きちんと確かめておいてください。
といっても、毎日計算する話ではありません。届く型をひとつ決めて、あとはそれを繰り返すだけです。
なぜ鉄だけなのか、母乳とミルクで何が違うのかは、鉄の記事に書きました。
この型で、だいたい届きます
先に答えを書きます。毎日この3つを回していれば、目標に届きます。
- 鉄を添加したライスシリアルを、1日2〜3回
- 卵黄・赤身肉・レバーのどれかを、毎日ひとつ
- 納豆や青菜を出す日は、食後に果物を少し
| 月齢 | とれる鉄 |
|---|---|
| 9〜11か月(シリアル3回+卵黄+赤身肉+青菜) | 4.8 mg |
| 6〜8か月(シリアル3回+卵黄) | 4.0 mg |
| 6〜8か月(シリアル2回+卵黄+青菜) | 3.3 mg |
9か月をすぎれば、この型で目標を超えます。6〜8か月はまだ食べる量が少ないので、少し届きません。ただ、この時期は体にためてきた鉄が尽きたばかりです。ここで神経質になる必要はありません。
やってほしいのは、最初の一度だけ、お使いの製品の表示を見て確かめることです。届いているとわかったら、あとは同じことを繰り返すだけになります。
一度だけ確かめてほしい理由
「ライスシリアルを使っているから大丈夫」と思っていたら、実は鉄の入っていない「粉末おかゆ」だった、ということが起こります。見た目も使い方もそっくりだからです。製品によって鉄の量も違います。
裏の栄養成分表示に鉄のmgが書いてあるかどうか。そこだけ、最初に見てください。
何にどれだけ鉄が入っているか
確かめるときの表です。1回に使いそうな量で並べました。型を変えたくなったときにも、ここを見てください。
| 食べもの | 100gあたり | 1回の量 | その量の鉄 |
|---|---|---|---|
| 卵黄 | 4.8 mg | 1個(16g) | 0.8 mg |
| 育児用ミルクの粉 | 6.5 mg | 10 g | 0.65 mg |
| 豚レバー ※ | 13.0 mg | 5 g | 0.65 mg |
| 納豆 | 3.3 mg | 15 g | 0.5 mg |
| 鶏レバー ※ | 9.0 mg | 5 g | 0.45 mg |
| 牛もも赤身肉 | 2.8 mg | 15 g | 0.4 mg |
| 小松菜(ゆで) | 2.1 mg | 20 g | 0.4 mg |
| きな粉 | 8.0 mg | 3 g | 0.24 mg |
| まぐろ赤身 | 1.1 mg | 15 g | 0.17 mg |
| 高野豆腐(乾) | 7.5 mg | 2 g | 0.15 mg |
| しらす干し | 0.6 mg | 5 g | 0.03 mg |
※レバーはビタミンAが多いので、2〜3日に1回までにしてください。あとの項目で説明します。
意外なのは、しらすかもしれません。カルシウムはとれますが、鉄はほとんど入っていません。逆に卵黄は、1個で0.8mgと優秀です。
吸収率をかけ算しないでください
この表の数字も、目標の4.5mgも、どちらも「食べる量」です。そのまま足し算してください。このあと吸収率の話が出てきますが、その数字をここでかける必要はありません。かけてしまうと、とんでもない量が必要だという計算になります。
吸収率が効いてくるのは、中身の組み立てのほうです。合計を満たすことと、何と何を組み合わせるか。次の項目から、その話をします。
ヘム鉄と非ヘム鉄で、吸収がまるで違う
鉄には2種類あります。含まれている食べものと、体への入りやすさが違います。
| 種類 | 多い食べもの | 吸収率の目安 |
|---|---|---|
| ヘム鉄 | 赤身の肉、魚、レバー | 20% |
| 非ヘム鉄 | 豆、オートミール、ほうれん草、小松菜、卵黄 | 5% |
同じ1mgでも、お肉からとれば0.2mg、ほうれん草からなら0.05mgしか入りません。4倍の差があります。
ほうれん草や小松菜は鉄が多い野菜として知られていますが、野菜だけで補うのは、かなり大変ということです。
入りにくいほうの鉄は、果物と組み合わせる
非ヘム鉄は、そのままでは体に入りにくい。ただし、助けてくれる相手がいます。ビタミンCです。
早見表のうち、納豆・小松菜・きな粉・高野豆腐、それに卵黄が非ヘム鉄です。これらを出す日は、食後に果物を少し足してください。表の上では同じ0.4mgでも、体に入る量が変わります。
動物性のたんぱく質にも同じ働きがあります。青菜に少量のお肉を混ぜる、という組み合わせが効くのはそのためです。野菜だけの皿にしないでください。
| 果物 | ビタミンC(100gあたり) |
|---|---|
| いちご | 62 mg |
| みかん | 32 mg |
| バナナ | 16 mg |
| りんご(皮なし) | 4 mg |
りんごは、ビタミンCがほとんどありません
離乳食で最初に使う果物の定番なのに、100gで4mgしか入っていません。いちごの15分の1です。食べやすくて消化にもやさしいので、果物として出すぶんには何の問題もありません。ただ、鉄の吸収を助ける役としては期待できない、ということです。
その役をねらうなら、いちごかみかんを選んでください。
ビタミンCは加熱するとへります。初めての果物は加熱してから試して、大丈夫だとわかったら生のすりおろしに移していってください。生のほうが、この働きは強く出ます。進め方は食材のよくある疑問にまとめました。
ためしに、1日ぶんを数えてみる
よく食べた日を想定して足してみます。
| 食べたもの | 鉄 |
|---|---|
| 卵黄 1個 | 0.8 mg |
| 牛もも赤身肉 15g | 0.4 mg |
| 納豆 15g | 0.5 mg |
| 小松菜(ゆで)20g | 0.4 mg |
| 育児用ミルクの粉 10g をおかゆに | 0.65 mg |
| 合計 | 2.75 mg |
かなり気合いの入った1日です。それでも2.75mg。目標の4.5mgには届きません。
おどかすために書いているのではありません。ふつうにがんばっても届かないということを、先に知っておいてほしいからです。届かないのは、あなたの努力が足りないからではありません。
だから次の手が要ります。
足りない分は、鉄を足した粉末で埋める
さっきの例で足りなかったのは1.75mgでした。食材を増やしても、カロリーの枠が先にいっぱいになります。ここから先は、鉄を足してある食品を使うのがいちばん早い。
候補は2つあります。どちらも粉なので、水分を増やさずに混ぜられます。
鉄を添加したライスシリアル
お米の粉に鉄を加えた、おかゆのもとです。欧米では補完食の定番で、日本でも手に入るようになりました。
ある製品では、100gあたり鉄17.8mg、385kcal。1食に使う量は6gほどなので、1食で鉄1.1mg、23kcalです。1日3食で鉄3.2mg、カロリーは69kcal。これだけで目標の7割が埋まります。
「粉末おかゆ」とは別のものです
売り場には、お米だけを粉にした「粉末おかゆ」も並んでいます。見た目も使い方もそっくりですが、鉄は入っていません。鉄をねらうなら、栄養成分表示に鉄のmgが書いてあるものを選んでください。
鉄を添加した製品は、たいてい原材料に「ピロリン酸鉄」などの名前が出ています。そこが見分けかたです。
育児用ミルクの粉
家にあるならこれでも足せます。100gあたり鉄6.5mg、510kcal。10gで鉄0.65mg、51kcalです。
| 足すもの | 鉄1mgあたり |
|---|---|
| 豚レバー | 9 kcal |
| 鉄を添加したライスシリアル | 22 kcal |
| 納豆・きな粉 | 56 kcal |
| 牛もも赤身肉 | 63 kcal |
| 卵黄 | 70 kcal |
| 育児用ミルクの粉 | 78 kcal |
レバーがいちばん効率のいい鉄源です。ただしビタミンAのせいで2〜3日に1回までしか使えません。毎日使えるものの中では、鉄を添加したライスシリアルが頭ひとつ抜けています。粉ミルクの3倍以上、少ないカロリーで鉄を運べます。
もう一度、数えてみる
さっきの1日に、ライスシリアルを組み込みました。おかゆをこれに置き換えるだけです。
| 食べたもの | 鉄 | カロリー |
|---|---|---|
| ライスシリアル 6g × 3食 | 3.2 mg | 69 kcal |
| 卵黄 1個 | 0.8 mg | 54 kcal |
| 小松菜(ゆで)20g | 0.4 mg | 3 kcal |
| 合計 | 4.4 mg | 126 kcal |
鉄4.4mg、カロリー126kcal。目標の4.5mgにほぼ届いて、カロリーの枠にもおさまりました。しかも品数は3つです。
レバーを使える日なら、5g足すだけで5mgを超えます。カロリーはたった6kcalしか増えません。
ここが分かれ目です
食材だけで組むと、どれだけがんばっても3mg台でカロリーが尽きます。鉄を足した粉末をひとつ入れるだけで、同じカロリーのまま4.5mgに届く。母乳が中心のお子さんでは、ここが実質的な分かれ目になります。
毎日きっちり4.5mgでなくて構いません。ただ、この一手を知らないまま「食材でがんばる」を続けると、届かない日がずっと続いてしまいます。
カロリーの枠も見てください
食事から足したいカロリーは、6〜8か月で1日130kcalほど、9か月からは310kcalほどです(カロリーの記事を参照)。粉を増やせば鉄もカロリーも増えるので、枠を超えないように調整してください。
粉末のいいところは、お湯の量でこさを自由に決められることです。同じ6gでも、水を減らせば濃いおかゆになります。足りないカロリー計算と合わせて使うと、量とこさの見当がつきます。
市販のベビーフードにも、鉄を配合したものが増えました。粉末のだしやソースに鉄を入れた製品には、5〜6か月ごろから使えるものもあります。ここでも見るのは栄養成分表示の鉄です。何mg入っているかが書いていない商品では、足しても量が読めません。
届かない日があっても大丈夫です
毎日ぴったり4.5mgを目指す必要はありません。届かない日があっても、すぐに何かが起きるわけではないからです。ためこんだ鉄が減っていくのには時間がかかります。
大事なのは、ゼロに近い日を続けないこと。鉄を足した粉末をひとつ決めておけば、それだけで底が抜けなくなります。
そのうえで、数えてみて届いていない日が続くようなら、そこで相談する意味が出てきます。「これだけ食べさせても届かない」という具体的な話は、症状だけを伝えるより、はるかに医師に届きます。受診の目安は鉄の記事にまとめました。
赤身肉とレバーを、少しずつ
鉄をとるなら、牛や豚の赤身肉が確実です。6か月ごろから、少量ずつ始めて構いません。すりつぶす、ペーストにする、といった食べやすい形にしてください。
レバーは鉄が非常に多い食材です。ただしビタミンAも多く、とりすぎになりやすい。2〜3日に1回、5gくらいから始めるのが安全です。
乾燥レバーはグラム数が変わります
粉末や乾燥タイプは、水分が抜けているぶん、同じ5gでも中身の量が違います。製品に書かれている使用量の目安に従ってください。
フォローアップミルクは、ミルクの代わりではありません
名前が似ているので混同されがちですが、育児用ミルクとは別のものです。
フォローアップミルクは、牛乳のかわりとして作られています。亜鉛や銅などが入っていません。育児用ミルクのかわりに使うと、鉄以外のものが抜け落ちます。
鉄を足したいという目的だけで、育児用ミルクから切り替えないでください。
市販のベビーフードに、ちょい足しする
鉄を配合した製品を使わない日も出てきます。そういう日は、普通のベビーフードに足してください。市販品は水分が多く、鉄もカロリーも控えめなので、足す前提で見ると使いやすくなります。
- 育児用ミルクの粉を混ぜる
- レバーペーストや肉のペーストを足す
- 食後に果物を少し。ビタミンCが吸収を助けます
足す用の食材を冷凍で用意しておくと、回数が増えても回ります。ベビーフードの記事に、組み合わせの例をまとめました。
出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 厚生労働省「別表1 母乳及び乳児用調製粉乳の成分組成と表示の許可基準」
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
ヘム鉄・非ヘム鉄の吸収率は文献によって幅があり、ここでは説明のための目安として示しています。1回に使う量は6〜11か月の目安で、お子さんによって変わります。
ライスシリアルの鉄とカロリーは、実際に売られている製品の栄養成分表示から計算しました。製品によって数字は違うので、お使いのものの表示を確かめてください。
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