離乳食のたんぱく質は、どれくらい食べればいい?
たんぱく質は、母乳やミルクと離乳食で、大抵は十分に摂れています。毎日、たんぱく質の量を計算しなくても大丈夫です。
気にしたいのは、量より種類です。肉や魚、卵のどれかを毎日出し、鉄と亜鉛の多い牛の赤身肉や卵黄も取り入れましょう。
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たんぱく質は、1日に何グラム要る?
WHOと国連食糧農業機関(FAO)、国連大学が2007年にまとめた報告では、1歳の子に必要なたんぱく質は、1日に約11gです。報告では、ほとんどの子が不足しないように、必要な量を少し多めに見積もっています。
日本の厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、6〜8か月の目安量は1日15g、9〜11か月は25g、1〜2歳の推奨量(ほとんどの子が不足しない量)は20gです。
| 月齢 | WHO | 日本の食事摂取基準 |
|---|---|---|
| 6〜8か月 | 約10 g(6か月) | 15 g(目安量) |
| 9〜11か月 | 約11 g(1歳) | 25 g(目安量) |
| 1〜2歳 | 約11〜12 g | 20 g(推奨量) |
食事摂取基準の目安量は、母乳に含まれるたんぱく質の量と、日本の赤ちゃんが実際に離乳食から食べているたんぱく質の量を足して決めています。9〜11か月の25gは、母乳からの約4gと離乳食からの約18gを足した約22gを、切り上げた値です。目安量より少なくても、たんぱく質が足りないとは限りません。育児用ミルクで育てている赤ちゃんも、目安量は同じです。
食べたもののたんぱく質の量は、計算ツールで出せます。→カロリーと栄養の計算ツール
離乳食の目安の「魚15g」は、たんぱく質の量?
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」には、9〜11か月なら魚は1回15gのように、たんぱく質の食べものの目安量が書いてあります。1回の目安量の15gは、魚そのものの重さです。鮭15gのたんぱく質は、約3gです。
| 食べもの | 7〜8か月 | 9〜11か月 |
|---|---|---|
| 鮭 | 10〜15 g (2.2〜3.3 g) | 15 g (3.3 g) |
| 鶏ささみ | 10〜15 g (2.4〜3.6 g) | 15 g (3.6 g) |
| 絹ごし豆腐 | 30〜40 g (1.6〜2.1 g) | 45 g (2.4 g) |
| 卵 | 卵黄1個〜全卵1/3個 (2.1〜2.6 g) | 全卵1/2個 (3.1 g) |
| ヨーグルト | 50〜70 g (1.8〜2.5 g) | 80 g (2.9 g) |
どの食べものを選んでも、1回に摂れるたんぱく質は2〜4gほどにそろっています。豆腐の目安量が魚の3倍ほどあるのは、豆腐のたんぱく質が100gあたり5〜7gと、魚より少ないためです。12〜18か月になると、魚や肉の目安量は15〜20gに増え、鮭ならたんぱく質は3.3〜4.5gです。
9〜11か月の子が、鮭15gのおかずと全がゆ90gを1日3回食べると、食事から約13gのたんぱく質が摂れます。食事のたんぱく質に、母乳なら約4g、育児用ミルクを1日400mL飲めば約7gが加わるので、1日のたんぱく質は合わせて17〜20gほどです。WHOの報告の約11gより多いので、たんぱく質は十分に摂れています。
たんぱく質を多く含む食べものを、1回に2種類出してもいい?
1回の食事に、たんぱく質の食べものを2種類出しても構いません。支援ガイドの表には「魚」「又は肉」「又は豆腐」「又は卵」「又は乳製品」と書かれていて、目安量は、どれか1つでたんぱく質を摂る時の量です。
2種類出す時は、それぞれを半分くらいにしましょう。9〜11か月なら、豆腐を20gほどと鮭を7〜8gほど、のように組み合わせてください。
赤ちゃんがたんぱく質を摂りすぎると、どうなる?
どれくらいの量から体に悪いのかがまだ分かっていないため、日本の食事摂取基準にも、WHOなどの報告にも、たんぱく質の摂りすぎの上限は決められていません。
たんぱく質の摂りすぎで赤ちゃんの腎臓に負担がかかる、と言われるのは、主に牛乳の話です。牛乳は母乳よりたんぱく質や塩分が多く、1歳前に飲みものとして飲ませると、腎臓が尿に出す老廃物や塩分が増えます。下痢や熱で水分を失った時には、脱水になりやすくなります。育児用ミルクを表示より濃く作った時も、尿に出す老廃物や塩分が増えるので、ミルクは表示どおりの濃さで作ってください。
欧州小児栄養消化器肝臓学会(ESPGHAN)は2017年の声明で、赤ちゃんの腎臓が生後4か月ごろには、離乳食の栄養を処理できるほど育っているとしています。普通の量の離乳食で、腎臓の心配はいりません。
日本の1〜6歳の子が飲む牛乳は、平均で1日150gほどで、たんぱく質にすると約5gです。1日に摂るたんぱく質の1割ほどなので、牛乳のたんぱく質を気にする必要はありません。ただ、牛乳を飲みすぎると食事を食べられなくなるので、アメリカ小児科学会は、1歳からの牛乳を1日680mLまでとしています。→1歳からの牛乳の量
1〜2歳の食事摂取基準には、生活習慣病を防ぐために、たんぱく質を1日のカロリーの13〜20%にするという目標量もあります。1日に摂るカロリーが950kcalなら、目標量の上限の20%は、たんぱく質の量で約48gです。日本の1〜6歳の子が摂るたんぱく質は、平均で1日のカロリーの約14%にあたり、目標量の範囲の中にあります。
豆腐ばかりでも大丈夫?
豆腐でも、たんぱく質は十分に摂れます。豆腐には鉄も含まれていて、1回の量で比べると、鮭や鶏ささみより多いくらいです。
| 食べもの | たんぱく質 | 鉄 | 亜鉛 |
|---|---|---|---|
| 絹ごし豆腐 45g | 2.4 g | 0.54 mg | 0.23 mg |
| 木綿豆腐 45g | 3.2 g | 0.68 mg | 0.27 mg |
| 鮭 15g | 3.3 g | 0.08 mg | 0.08 mg |
| 鶏ささみ 15g | 3.6 g | 0.05 mg | 0.09 mg |
| 牛もも赤身肉 15g | 3.2 g | 0.39 mg | 0.62 mg |
| 全卵 1/2個(25g) | 3.1 g | 0.38 mg | 0.28 mg |
| 卵黄 1個(16g) | 2.6 g | 0.75 mg | 0.53 mg |
ただ、豆腐の鉄は非ヘム鉄(野菜や豆に含まれている鉄)で、ヘム鉄(お肉や魚に含まれている鉄)より吸収されにくくなります。亜鉛も、牛の赤身肉や卵黄のほうが多く含まれています。→ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
WHOは2023年のガイドラインで、鉄・亜鉛・ビタミンB12が摂れるため、6〜23か月の子に肉や魚、卵を毎日食べるよう勧めています。豆腐の日があっても構いませんが、肉や魚、卵のどれかも毎日出しましょう。
肉や魚をあまり食べない日が続く時は、鉄を加えたきな粉を、おかゆや豆腐に混ぜる方法もあります。協和食研の「はぐくみ太郎 鉄分きなこ」は7か月ごろから使え、メーカーの表示では、1日1gで2歳までの子の1日分の鉄が摂れます。使う量が少ないので、たんぱく質はほとんど増えません。鉄を足すためのものとして使いましょう。
豆腐を毎日食べると、大豆のアレルギーになるのでは、と心配する方がいます。口から食べたたんぱく質は、体が「これは食べものだ」と覚えて、慣れていきます。毎日食べることで、アレルギーが起こりやすくなることはありません。湿疹がある子は、荒れた皮膚から入ったたんぱく質でアレルギーになりやすくなるので、湿疹を治しましょう。→皮膚から入るアレルギーの話
たんぱく質の食べものは、何から始める?
日本の厚生労働省の支援ガイドは、おかゆや野菜に慣れたら、豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄を試すとしています。魚は白身魚から赤身魚、青皮魚へ、卵は卵黄から全卵へ進める順番です。→卵の始め方と量
鉄を摂るために、牛や豚の赤身肉も、6か月ごろから少しずつ始めて構いません。すりつぶすか、ペーストにして出しましょう。→赤身肉とレバーの出し方
たんぱく質が足りなくなるのは、どんな時?
普通に離乳食を食べていれば、たんぱく質が足りなくなることは、まずありません。たんぱく質が不足していないかは、体重が増えているかで考えましょう。→体重で見る食事の量
海外では、母乳や育児用ミルクの代わりに、ライス飲料などの植物性の飲みものを飲ませていた赤ちゃんで、たんぱく質が足りなくなった例が報告されています。アーモンド飲料のたんぱく質は、同じ量の牛乳の約2%、ライス飲料は約8%しかありません。1歳前に母乳の代わりになるのは、育児用ミルクだけです。
牛乳が合わないと考えた保護者が、たんぱく質の少ない食事に変え、赤ちゃんのたんぱく質が足りなくなった例もあります。牛乳アレルギーが心配な時や、肉や魚、卵、乳製品を摂らないヴィーガンの食事で育てたい時は、かかりつけの小児科医に相談してください。
アレルギーの確認に使える、食材の記録表
「離乳食きろく」は、初めて食べた食材と、食べたあとの様子を記録する無料のツールです。卵や乳製品のようなアレルギーの原因になりやすい食材について、試した日と量や、口の周りが赤くなったなどの反応を残せます。記録は食材ごとに一覧で見られるので、小児科で相談する時にそのまま見せられます。会員登録は要りません。記録する食材を選んでください。
出典
- WHO. Guideline for complementary feeding of infants and young children 6–23 months of age. 2023.(推奨4a「Animal source foods, including meat, fish, or eggs, should be consumed daily」。強い推奨、証拠の確実性は低い。推奨の理由は、鉄・亜鉛・ビタミンB12の不足を補うこと)
- WHO/FAO/UNU. Protein and amino acid requirements in human nutrition. WHO Technical Report Series 935. 2007.(表47。安全な摂取量は体重1kgあたり 0.5歳1.31g、1歳1.14g、2歳0.97g。WHOの基準の体重で、0.5歳 男10.2g・女9.4g、1歳 男11.6g・女10.8g、2歳 男11.9g・女11.4g/日。第13章:上限は今の知識では決められない)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」たんぱく質(印刷93ページ。乳児の目安量=母乳中のたんぱく質濃度×哺乳量+離乳食からのたんぱく質摂取量。9〜11か月は 9.2g/L×0.45L+17.9g=22.0g。人工栄養でも目安量は同じ。印刷93〜94ページ:耐容上限量は設定しない。印刷103ページ:目安量 6〜8か月15g、9〜11か月25g。1〜2歳 推奨量20g、目標量13〜20%エネルギー)
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)32ページ(豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄。白身魚から赤身魚、青皮魚へ、卵黄から全卵へ)、34ページ(離乳の進め方の目安。1回当たりの目安量 魚・肉 10〜15g、15g、15〜20g、豆腐 30〜40g、45g、50〜55g、卵 卵黄1〜全卵1/3、全卵1/2、全卵1/2〜2/3、乳製品 50〜70g、80g、100g)
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」(第8版)増補2023年(100gあたり。たんぱく質・鉄・亜鉛:しろさけ 生22.3g・0.5mg・0.5mg、若どり ささみ 生23.9g・0.3mg・0.6mg、絹ごし豆腐5.3g・1.2mg・0.5mg、木綿豆腐7.0g・1.5mg・0.6mg、輸入牛 もも 赤肉 生21.2g・2.6mg・4.1mg、鶏卵 全卵 ゆで12.5g・1.5mg・1.1mg、鶏卵 卵黄 ゆで16.1g・4.7mg・3.3mg。たんぱく質:ヨーグルト 全脂無糖3.6g、水稲全かゆ 精白米1.1g、人乳1.1g、乳児用調製粉乳12.4g、普通牛乳3.3g)
- 厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査報告」(第1表の1。1〜6歳のたんぱく質は1日平均45.2g。脂肪と炭水化物のエネルギー比率から計算すると、たんぱく質は約14%。第5表の1。1〜6歳の牛乳は1日平均147.0g、中央値130.5g)
- Fewtrell M, et al. Complementary Feeding: A Position Paper by the European Society for Paediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition (ESPGHAN) Committee on Nutrition. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2017;64(1):119-132.(腎機能は生後4か月で補完食の栄養を処理できるほど育っている。牛乳は12か月より前に主な飲みものにしない)
- 日本小児科学会栄養委員会報告「乳児用特殊ミルク等の栄養素含有適正化に関するワークショップ」2011年(同報告が引くアメリカ小児科学会の原則。1歳を過ぎてから飲ませる牛乳は、1日680mlを超えない)
- WHO. Guiding principles for feeding non-breastfed children 6–24 months of age. 2005.(12か月より前に牛乳をそのまま与えると、腎臓が処理する溶質が多く、下痢の時に脱水の危険がある)
- Merritt RJ, et al. Plant-based Milks: A Position Paper of the North American Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition (NASPGHAN). J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2020;71(2):276-281.(アーモンド飲料・ライス飲料のたんぱく質は、牛乳の約2%・8%。1歳未満で母乳の代わりになるのは育児用ミルクだけ)
- 協和食研 楽天市場店「はぐくみ太郎 鉄分きなこ」(原材料 大豆(国産)/ピロリン酸第二鉄。内容量40g。7ヶ月頃から。商品画像「鉄分きな粉は1日1gで1日分の鉄分がとれる!※食事摂取基準2025より 2歳までの月齢にて」。2026年10月確認)
- Liu T, et al. Kwashiorkor in the United States: fad diets, perceived and true milk allergy, and nutritional ignorance. Arch Dermatol. 2001;137(5):630-636.(アメリカの12例のうち半数は、牛乳が合わないと考えて、たんぱく質の少ない食事に変えていた)
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